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9.なんの前触れも無く ページ11

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時が経つのは早いもので



「もう、夏も終わりかぁ…」



辺りの木々は、青々とした緑から赤や黄と色を変え始めている


風も少し冷たくなって、夏の終わりが見えてきた。


いつも通り、茶室で朝食を食べながら、今日は何をしようかと考える。


あぁ、そう言えば。


化け猫屋に新メニューが出たとか聞いたな…


鯉伴でも誘って食べに行こうかな〜。



「鯉千ちゃん、男の子と女の子、どっちが好き?」


「は…え?」



向かいに座って、珍しく一緒にお茶を飲んでいた若菜さんが、何の前触れも無く聞いてくる


…ちょっと…意味がわからないんだけど…


思わず箸を止めて、若菜さんを見つめるも、当の本人はニコニコと笑みを浮かべている



「あの…若菜さん?
質問の意味がわからないんだけど…」


「あぁ、ごめんなさい。
実は、私妊娠してるの。それで、鯉千ちゃんは、どっちが好きかなぁ…って」


「あー…そう言うこと…………は、はぁぁ!!?」



ちょっ、今この人なんて言ったの!!?


サラッと大事なこと言ったよね!!?ねぇ!!?


え、なんなの!?ドッキリなの!!?



「ふふっ、ドッキリじゃないわよ。」


「え、あ…うんと…本当に?」


「えぇ。本当よ」


「じゃ…つまり…私にいとこができるってこと…?」


「えぇ。」



慌てる私を他所に、笑みを絶やさない若菜さん。


なんなのこの人…。


心臓に悪いよ…


ってか、私にいとこって…実感湧かねぇ…



「それで、鯉千ちゃんはどっちが好きかしら?」


「んーと…どっちも好きだよ。カワイイし。」


「じゃあ、お世話を手伝ってくれるかしら?」


「もちろん!任せてよ!」



良く良く考えてみれば、あの鯉伴と若菜さんの子だからな…


絶対カワイイに決まってる!


やっべぇ…めちゃくちゃ楽しみだ!!



「あ、他の皆には伝えたの?」


「えぇ。さっき伝えたわ」


「あぁ…通りで何時もより騒がしいと思った…」



きっと、皆の前でもサラリと言ってのけたんだろうな…。


私さ、若菜さんって結構大物だと思うんだよね。


って言うか、この妖怪屋敷で普通に暮らしていて、大物じゃない方がおかしいよね。


うん…なんかもう、本当に…



「…おめでとうございます」


「ありがとう!」



ここ最近、一番の笑顔を浮かべた若菜さんは、幸せそうで。


ようやく私にも、いとこと言う実感が湧いてきた。


んーー!!楽しみだ!!!









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10.どうしようも無く緩む→←8.何気ない日常の一コマ



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楸ヒナタ(プロフ) - 李桜さん» 面白いなんて…!ありがとうございます!嬉しい限りです!!これからもよろしくお願いします! (2016年2月1日 17時) (レス) id: 5a9f26663b (このIDを非表示/違反報告)
李桜 - 小説面白いッス!私も文才あったらなァ〜 (2016年2月1日 0時) (レス) id: 888568db42 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - ゆーなさん» ミツカッタ…。行動が早いっすね。 (2015年9月14日 21時) (レス) id: 5a9f26663b (このIDを非表示/違反報告)
ゆーな - ミツケタ...... 。 これかな?これだよね? (2015年9月14日 21時) (レス) id: be54fb8e5e (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 飛鳥さん» うわぁ!そんな事言ってもらえるなんて…凄い嬉しいです!!コメント、ありがとうございます!! (2015年8月14日 22時) (レス) id: 5a9f26663b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:楸 ヒナタ | 作成日時:2015年6月14日 17時

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