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第13話 ページ15

「骸、なぜあなたがここにいるの?」


「それはこっちのセリフよ荊。」


先程彼女は私と殺り合うなんて言っていたが、やはり向こうもそんなつもりはなかったらしい。



2人でどこかよく分からない河川敷に座り込みただボーッとしていた。



「私は先に抜けたから知らないけど…あなた、どうやってあそこから逃げたの?」



彼女はずっと疑問に思っていたらしいことを聞いてきた。


すでに私が逃げ出したということは分かっているらしい。


「朧に殺されそうになったけど、なんとか逃げて来た。」


「へぇそう。なんで逃げ出したの?」



そう聞かれるとよく分からなかった。
自分が逃げ出した理由が。


でも一つ心当たりはある。



「…ある任務の時、暗殺するところを3人家族に見られた。殺せって言われたから殺そうと思ったんだけど…」


「殺せなかったのね。なんで?」


「分からない。分からないけど、これやったらダメなんだろうなって。……先生がいたら怒られるかなって、思った。」



あの日のことは鮮明に覚えている。

泣き叫ぶ子供と女を守ろうと男が1人で、刀を構えた私の前に立っていた。


そこで気づいた。
あの子供と女は守られているんだと。


「いいなぁって思ったの。これ、なんて感情?」


「…そこは相変わらずね。自分で考えて。」


なかなか厳しい。



そう言って骸は……いえ、信女は立ち上がった。


彼女がなぜ見廻組に入ったのかは知らないが、結構楽しそうにすごしているらしい。


「じゃあ、異三郎とドーナツが私の帰りを待ってるから。またね……A。」


「うん、またね信女。」


そして彼女は本当に異三郎とドーナツが好きなんだろう、猛ダッシュで帰っていった。



もうすぐ沈んでしまう夕日を見ながら、垂れてきた髪を耳にかける。


信女は今あんなに楽しそうに過ごせてる。
私も、あんな風に楽しめる日がくるのかな。




……そんな資格、私にはないけど。






「……あ、土方のタバコに瞬間接着剤塗ったまんまだった。」

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時々雨(プロフ) - 返信頂けて嬉しいです。ありがとうごさいます!のんびりといつまでも待ちますので、無理なく頑張ってくださいね。楽しみにしてます! (2020年9月10日 1時) (レス) id: 53cd215612 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - 時々雨さん» コメントありがとうございます!続きがなかなか思いつかなくて無理かなぁと思っておりましたが、今回そう言っていただけたのでまたストーリーを考えて頑張っていきたいと思います!時間はかかるかもしれませんが自分なりに作成していこうと思います! (2020年9月8日 21時) (レス) id: 201a018e64 (このIDを非表示/違反報告)
時々雨(プロフ) - コメント失礼します。だんだんと主人公が自分と向き合いはじめ感情に名前がつきはじめ、どうなっていくのかと気になります。続きはない感じでしょうか…?とても気になる内容で是非続きを読んでみたいです! (2020年9月8日 16時) (レス) id: 53cd215612 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - BT21 さん» 面白いと言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます! (2019年9月16日 21時) (レス) id: 6f16964e99 (このIDを非表示/違反報告)
BT21 - 凄い面白いですね松陽先生も出てくるし続き楽しみです更新頑張ってください (2019年9月16日 21時) (レス) id: e3d4fbe2de (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユーリ | 作成日時:2018年6月16日 0時

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