第12話 ページ14
「あ、A帰ってきたのか。おかえり。」
笑顔でそう迎えてくれたのは近藤と山崎だった。
「うん。」
返事をすると2人は顔を見合わせて困ったような顔を浮かべた。
不思議に思って首をかしげると、近藤が笑って言う。
「A、そういう時は“ただいま”と言うんだ。」
「…ただいま。」
そう言うと2人は嬉しそうにしてまた「おかえり」と言った。
ただの言葉なのに、なぜそんなに嬉しいんだろう。
ただいまなんて言葉、言ったことはなかった。
『A、おかえり。』
あの時ただいまと言っていれば、あの人も2人と同じように喜んだのだろうか。
「…ん？誰か来てるの？」
見慣れない靴が２つ置いてあったのに気づき、近藤に聞くと彼は頷いた。
「ああ、見廻組の2人だ。なんか礼が言いたくて来たらしい。もうそろそろ帰るんじゃないか？」
「へぇ。」
“見廻組”
聞いたことはあるがさほど接点はない。
自分の部屋に戻ろうとした時、廊下の奥から数人の足音が聞こえた。
「もう2度と来るんじゃねぇ。」
「ええ、もちろんそのつもりです。こんな臭いところには来ません。」
「確かに土方さん、なんかにおいますぜ。」
「なんで俺なんだよ！！…お、帰ったのか。」
土方は私を見つけてそう言った。
彼の後ろには片眼鏡をかけ、真っ白な制服を着た男が1人いた。
あれが見廻組だろうか。
「おや、どなたですか？」
「簡単に言うと居候だよ。」
私は居候扱いされているのか。
少し呆れていると、もう1人廊下の奥から現れた。
その姿を見て、私は静かに刀の柄に手をかける。
「異三郎、帰りにドーナツ買って帰……」
相手も私を見て少しだけ目を見開いた。
「信女さん？ドーナツがなんです？」
「…異三郎、先に帰ってて。私、この人とちょっと殺り合うから。」
その言葉を聞き、周りは驚きつつも警戒した目を向けた。
「おいてめぇ、一体どういう…」
「大丈夫よ土方。なにも心配いらない。ただ話すだけ。」
なぜこの女がここにいるのか。
朧からの刺客？
いや違う、こいつはすでにあの組織にはいなかった。
ならば何故ここに。
「行こう……A。」
彼女はそう言って靴を履き始める。
私の名前を呼んだのは、ここにいる土方達に過去の私を隠すためだったのだろうか。
「いつのまに、そんなに優しくなったの。」
「別に…変わらないと思うけど。」
今帰って来たばかりだが仕方ない。
それから心配そうな顔で近藤に色々と言われたが軽く流して私は外へ出た。
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時々雨(プロフ) - 返信頂けて嬉しいです。ありがとうごさいます！のんびりといつまでも待ちますので、無理なく頑張ってくださいね。楽しみにしてます！ (2020年9月10日 1時) (
レス) id: 53cd215612 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - 時々雨さん» コメントありがとうございます！続きがなかなか思いつかなくて無理かなぁと思っておりましたが、今回そう言っていただけたのでまたストーリーを考えて頑張っていきたいと思います！時間はかかるかもしれませんが自分なりに作成していこうと思います！ (2020年9月8日 21時) (レス) id: 201a018e64 (このIDを非表示/違反報告)
時々雨(プロフ) - コメント失礼します。だんだんと主人公が自分と向き合いはじめ感情に名前がつきはじめ、どうなっていくのかと気になります。続きはない感じでしょうか…？とても気になる内容で是非続きを読んでみたいです！ (2020年9月8日 16時) (レス) id: 53cd215612 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - BT21 さん» 面白いと言っていただけて嬉しいです！ありがとうございます！ (2019年9月16日 21時) (レス) id: 6f16964e99 (このIDを非表示/違反報告)
BT21 - 凄い面白いですね松陽先生も出てくるし続き楽しみです更新頑張ってください (2019年9月16日 21時) (レス) id: e3d4fbe2de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユーリ | 作成日時：2018年6月16日 0時
