恋する男とされる女 ページ5
加古はつまらなさそうな顔で眺める。
柊は不愉快そうな顔で眺める。
互いに見つめ合い、リアクションをする。
「二宮くんにストーカー発言したの?」
「うざいからだ」
「確かに面白くないけど。それは酷いわ」
ストーカーじみた奴に何が酷いのか、柊は尋ねたくなる。
コンビニの肉まんを食べながら、柊は加古の話を嫌々ながら聞いていた。
加古はなぜか二宮の話を柊にする。
気持ちはわからなくはない。
「じゃあ誰がいいわけ?太刀川?」
「・・・けっ」
ランク戦嫌いな柊に、ランク戦好き太刀川はないだろう。
ランク戦に太刀川から誘われることはない。柊がB級だからだろう。
「じゃあ犬飼くん」
「チャラい奴はうぜぇ」
あなたは影浦ですか。そういう質問はよしておこう。
柊はこのガールズトークに飽々していた。
誰かをだしにして帰りたい、何かを理由にして帰りたい。
「あー、俺、ランク戦やるから帰るわー」
柊は見えすぎた嘘を吐いて、はや歩きで立ち去る。
消えればこっちのものと言うのは間違いない。
加古は逃がした獲物の後ろ姿を見つめる。
そして、自分の後ろに呼びかけた。
「ってことよ、二宮くん」
影から出てきた二宮は、やっぱり表情がない。
ムッツリ野郎でストーカー疑惑の立った二宮は、内心ではショックのようだ。
それもそのはず。好きな人からうざいと思われ、喜ぶ奴がいるか。
いたとしたら変わり者か、異常か。
「あ、これ。借りだから」
「いつか返す。」
その頃、柊は残った肉まんを食べ終え、首をかしげていた。
柊は・・・
二宮は加古が好きなのだろうと思っているからだ。
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作者名:幻影のアレクトラ | 作成日時:2016年2月6日 20時