誘拐犯とサイコなロリ

第7話:不敏な誘拐犯 ページ9

放課後。

いそいそと支度をしてAの

もとへやって来る小さな姿が見えた。



「はぁーい！じゃあ誘拐犯ごっこ

やるよーーー！」


案の定スズだった。

見かけによらない馬鹿でかい声に

後方の席に座っていたチー坊が

ビクリと震える。


そう、彼は誘拐犯ごっこに誘拐犯役

として巻き込まれる可哀想な少年なのだ。



……まあきっかけは彼がうっかり自分が

不審者ヅラじゃないって事が判明するまで

やるみたいな事をAにLI◯Eで

送ってしまった自業自得な出来事

なのだが。


死んだ魚のような目になったチー坊を

ことごとく無視してスズはA

に昨日と同じように流れを説明する。

「じゃあまたあの路地付近で

茶番やるから、ちょっと離れた公園

でわたし達見守ってて！」

「あ、見守るって単語の役なんだね。

私茶番やってるヤバい奴等の保護者

的立場なんだね」

ぽそっと呟いたAの言葉に細かく

反応したチー坊は、声を荒げながら

そのセリフに反抗した。


「おい待て俺はヤバい奴じゃねえぞ！

普通の人！パンピー！あんだすたん！？」


その姿を見てAはハッと鼻で笑い、



「『早く来いガキィ！』………

いくら付き合わされたとて、迫真の

演技だったよね……」

「返す言葉もございません」


うっ、と声を詰まらせて俯く。

横でその始終を見ていたスズは、

チー坊が反論出来ないと悟った

らしく、彼を半ば引きずる形で

校舎を後にした。




「ああ、不敏だなあ、チー坊」

チー坊に同情し、Aは苦笑した。

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