8.豹変 ページ9
「七夕まであと1ヶ月かあ」
もう6月、七夕の日まであとひと月しかない
「Aはお願いごと決まったん?」
センラくんが首を傾げる
お願いごと、、神崎くんと…
いやいやいやおこがましいよねそんなの
熱くなった顔を冷やすように頬に両手を当てる
「…べつに、ない」
「嘘つけや。なんちゅー顔しとんねん」
ガシッと顎を掴まれセンラくんの方に向かせられる
「いっ、センラくん力強いよ」
ぱしぱしと彼の手を叩くとやっと離して貰えた
「で?好きなやつでもできたんやろ」
「え、いや、べつに?」
「俺、嘘つく子嫌いやねん」
な?と、ニッコリ笑うセンラくん
目が全く笑っていなくて怖い
でも好きな人ができたとか言うの恥ずかしいし
「…なあ、俺には言えんことなん?
Aの中で俺ってそんなに小さい存在やったん…?」
不安そうに蜂蜜色の瞳を揺らすセンラくんにドキリとした
「や、そう、じゃなくて、恥ずかしいだけだから」
「俺らの間に恥ずかしいことなんてないやろ?ほら言うてみ?」
「えぇっと…す、好きな人と付き合えますように、って書こうかなぁ…なんて」
ちらりとセンラくんを見ると目から光が消えていた
「あ、あのセンラく」
「そいつなんて名前なん?」
「え?」
「名前、はよ言えや」
「か、神崎くん、です…」
一気に責められるような雰囲気になって怖くなって目から涙が滲んでくる
「あー、泣かんといて。ごめんなぁ、怖かったな。びっくりさせてもうたな。
怒ってへんから泣かんくてええんよ」
ヨシヨシと頭を撫でられた後、ぎゅうっといつものように抱きしめられて安心して余計に涙が出た
「せんらく、こわかったあ」
「うんうん、ごめんなぁ」
「(やーっぱりビンゴやったな。
好きな人がいるんはわかってたけど短冊にまで書こうとするくらいやからベタ惚れやろうなあ)」
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作者名:ポン酢 | 作成日時:2021年11月17日 20時