4.七夕の行事 ページ5
私の高校には一般的によくある、体育祭、文化祭の他にもいくつか行事があり、そのひとつに七夕の行事がある
大体的にやるわけではないらしいが、昇降口の辺りに大きな竹が置かれ、それに願い事を書いてその短冊を吊るす、という簡単なものだ
そして、七夕の日、生徒たちの中ではジンクスがあるらしい
『七夕の夜、学校の中庭で自分の書いた願い事を誰にもバレず、3度言えたらその願い事は叶う』
というものらしい。
だからか、この学校の七夕はひと月前から随分盛り上がるらしい
私にはそんな切実なお願い事はないので縁のない話にはなるが。
「海野さん、海野さんはなんて書くの?」
「短冊?」
「そうそう。俺はサッカー部が全国大会に出れますようにって書く!」
神崎くんはサッカー部で、もうレギュラーを貰ったらしい。
1年生なのにすごいなぁと思いつつ、自分のお願い事を探すが、
「私はないからいいや〜」
「えー、年に一回しかないのに勿体ないな」
「海野さん、あの、うらた先輩が呼んでるよ」
そう気まづそうに話しかけてきたクラスの女の子にお礼を言ってドアの方を見ると鬼のような形相をしたうらたくんがいた
また怒ってるのかぁ
「どうしたの?」
「どうしたの?じゃねぇよ。神崎、だっけ?あいつにニコニコすんなよ」
「えぇ…話してて楽しかったら笑っちゃうよ?
だって、私うらたくんたちと話してる時ずっと楽しくて心がうきうきしてるもん」
と言うとうらたくんの顔がぱっと明るくなった
「そう、なの?」
「うん!そうなの!うらたくんは違う?」
「違くない…」
そのあとは少しうらたくんと話して授業が始まる時間になってしまったので教室に戻った
「先輩に怒られた?」
俺のせいかな、ごめん
と謝る神崎くんに
「怒られてないから謝らなくて大丈夫!うらたくんたまにああやって不安になっちゃうの」
と言うと不思議そうな顔をしながらも頷いた神崎くん
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作者名:ポン酢 | 作成日時:2021年11月17日 20時