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「ちょっと待っててね〜」
ミナトさんはそう言ってどこかへ行ってしまった。俺は大人しく扉の前でじっとしていた。
少しだけ開いた扉の隙間から中を覗く。俺は、本日何度目かになる驚きの声をあげそうになってしまった。
その部屋にいたのは3人。ただの一般人ではなくて、俺でも知ってるような有名人ばかり!
人気フォトグラファーで【MARCH HARE】と呼ばれるレン。彼女に撮ってもらったモデルは、必ず成功するとかしないとか。
「結局どうするの?私としては、トレンディ・コメディ・スタイルとかいいと思うんだけど__」
「いいや、ロスト・モダンが良いよ」
レンの意見に反対を唱えるのは、この場でたった1人の男。名前はヒカル。彼のエキセントリックなデザインは世界中から評価されている。反面、狂っているとの批判もあるが。
イカれ帽子とも呼ばれる帽子を被ったヒカルは、彼の支持者達から【MAD HATTER】と呼ばれている。
「…全く、それでキミはいつまで眠っているつもりかな?」
「無駄だよ、ヒカルくん。ウタちゃんは興味を惹かれないとすぐに寝ちゃうんだから」
「分かっているけれど……」
2人が視線を向けた先には、机に広がる赤髪。眠っているらしく、彼女が起きる気配は一向に無い。
ウタ。【Alice】から派生した雑誌の【Fashionista】の敏腕ライター。彼女の書く記事は人気だが、いかんせん興味のないものの前では直ぐに寝るという厄介な性質を持っている。そのせいで、【DORMOUSE】と呼ばれることも。
そんな人たちが集まるところに、なんで俺が?ミナトさんは間違っていないだろうか、と俺が辺りを見渡せば。バァン!と、なにかを力強く叩く音。
「あーもう、私をあっと言わせるビッグなインスパイアは何処ー!?」
ウタさんが、立ち上がってそう叫ぶ。ヒカルさんとレンさんがまたかという目でウタさんを見つめた。
不意に、肩を叩かれる。振り向くと、ミナトさんが笑って少し開いた扉をノックする。返事も聞かずに、彼は部屋の中へと身を滑らせた。
その際に腕を掴まれたので、俺の身体も同じく部屋の中に滑り込む。ただ、ミナトさんの俺より少し高い背に隠されてしまったけれど。
「久しぶりだね〜」
「やぁ、何の用かな?」
「あぁ。……じゃーん、君たちのお眼鏡に叶いそうなモデルくんを連れてきたよ〜」
「また?言っとくけど、私たちは【Safe Taste】なんて許さ……ない、よ……?」
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紫鐘(プロフ) - 文字数確認の為、一度非公開で保存しました (2022年9月23日 3時) (レス) id: 1589028db0 (このIDを非表示/違反報告)
YUI*p(プロフ) - 紫鐘さん» どうぞ〜!楽しみにしてます、頑張ってください! (2022年9月23日 3時) (レス) id: 804b0d7da1 (このIDを非表示/違反報告)
紫鐘(プロフ) - 更新します (2022年9月23日 3時) (レス) id: 1589028db0 (このIDを非表示/違反報告)
YUI*p(プロフ) - 音朱(おとあ)さん» 読んでいただきありがとうございます〜!音朱さんの文章、楽しみにしてますね! (2022年7月29日 17時) (レス) id: 804b0d7da1 (このIDを非表示/違反報告)
YUI*p(プロフ) - 凛導碧さん» 読んでいただき、ありがとうございます!拙い文章でしたが、喜んでいただけたなら良かったです…!! (2022年7月29日 17時) (レス) id: 804b0d7da1 (このIDを非表示/違反報告)
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