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カランカラン、と音のした方を向くと、ワインを零した紫の髪の政治家『シグ・アッシュ』が、疲れた様子で頭を抱えていた。この国の第一線で活躍する政治家である彼だが、寝不足気味?だろうか。
「っ……。ヤバ……」
隣にいた金髪の医者『マリン・ミートフィールド』が、シグに薬を差し出す。彼女は、その高い医療技術と知識から、この国1番の医者と名高い。やはり、ここは大物だらけだな。
「あっ、シグ君。大丈夫?お薬どうぞ」
シグが薬を受け取ったかを確認する暇もなく、次なるシャッターチャンスが現れた。
ミント色の髪のウェイトレス『ミナト・ダンシング』が、これまた名の通った金髪の俳優『トム・ムーンリード』に、ワインとシャンパンを勧めている。
ミナトは、とある王国に仕えるメイドだそうだが、今回はその腕前を買われて、ウェイトレスとしてこの船に乗ったそう。
トムは、世界トップクラスの俳優で、人格が変わるかのような演技が評判だ。
「トムさん、ワインとシャンパン、どちらにしますか?」
「あー……、いい。
……そうだ。ウィスキーロックを頼む」
トムはそのどちらかを選ぶことはなく、なぜか、そこにはないウィスキーロックを頼んだ。
それについて疑問を感じる暇もなく、本日の主役のご登場だ。
……あぁ、なんて忙しいの!
こんなに忙しくては、"怪盗Fは誰なのか"を考える暇もないじゃないか。
……まぁいい。今日は、目一杯、このカメラにオークションの光景を収めておこう。そうすれば、その答えは自ずと見えてくるはず。
そう考えた私は、今宵の主役___"幸福のダイヤ"にカメラを向けた。
「みんな、長らくお待たせしたね!今宵の主役のご登場だよ!」
その魅惑の輝きに、会場は大興奮の様子で、一気に熱気が増し、凄まじい歓声が湧き上がった。
厳重警備の網は、一部の隙もない。
この網を潜り抜け、"幸福のダイヤ"を盗むことなんて、はたしてできるのだろうか。
どう考えても、不可能犯罪だ。
そんな中、オークションが始まった。一層高まる熱気と興奮と緊張感に押しつぶされそうになる。
でも、こんなところで挫けてはいけない!
必ず、大スクープをこのカメラに収めるんだから!
オークションの開始が告げられると、たちまちハンマーが踊り出し、何人もの人々が、ダイヤを我が物にせんと言弾を飛ばす。それはまるで、銃弾の飛び交う戦場のような光景だった。
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紫鐘(プロフ) - 文字数確認の為、一度非公開で保存しました (2022年9月23日 3時) (レス) id: 1589028db0 (このIDを非表示/違反報告)
YUI*p(プロフ) - 紫鐘さん» どうぞ〜!楽しみにしてます、頑張ってください! (2022年9月23日 3時) (レス) id: 804b0d7da1 (このIDを非表示/違反報告)
紫鐘(プロフ) - 更新します (2022年9月23日 3時) (レス) id: 1589028db0 (このIDを非表示/違反報告)
YUI*p(プロフ) - 音朱(おとあ)さん» 読んでいただきありがとうございます〜!音朱さんの文章、楽しみにしてますね! (2022年7月29日 17時) (レス) id: 804b0d7da1 (このIDを非表示/違反報告)
YUI*p(プロフ) - 凛導碧さん» 読んでいただき、ありがとうございます!拙い文章でしたが、喜んでいただけたなら良かったです…!! (2022年7月29日 17時) (レス) id: 804b0d7da1 (このIDを非表示/違反報告)
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