俺が本を読む理由。 (ページ2)

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「俺達が出会って13年目の夜にー？
かんぱーーーいっ！！」

ニカの合図で
グラスがぶつかる音がすると、
そこから俺たちの思い出話が止まらなくなった。

あの時の宮田のあの一言がやばかったとか、
横尾さん歌うまくなってるよね、なんて。
とにかくみんな話が尽きなくて、
楽しい空気のまま時間は過ぎていく。
そんな中でも一際目立つほどミツは
ものすごく幸せそうに笑っていた。

俺とニカの間に座るミツ。
俺の向かい側にいるガヤさんが
ずっとこっそりミツのことを見ていることも
ちゃんと気付いてる、だって嫌でも見えるもん。

このうずうずしてしまうようなぎこちない距離感が、
俺とニカが二人を守りたいと思ってしまう原因。
もちろん、他の三人だってそうだよ。

飲みも終盤に近づいた頃、
ミツは完全に酔いつぶれていた。

目はとろんと潤んでいて、
ちっちゃいせいで自然となる上目遣い。
こんなに可愛くなるんだね、飲むと。
ガヤさんが心配していた理由が分かった。

これは男でも可愛すぎだね。

「ミツ、もうやめな？
とりあえずこの水飲んで

「それよりせんがぁ、」

「····なに？」

「ちゅーして」

·

「···え？」

ぐるりと首に回された腕。

一気にメンバーの視線が俺に刺さる。

待って、ガヤさん俺のこと睨んでない？

身体が動かなくなって、
次の行動に迷っていると

「なんでちゅーしてくんないの、」

って
寂しそうにぽそっと呟くと、
うるうるなお目目で俺を見上げる。

助けてっ、神様っ！！
俺このままじゃみんなの敵じゃんっ！！
てか、“なんでしてくんないの”って
そんなの出来るわけなくないっ！？
したら死ぬんだよ？俺。
居酒屋で人生終えたくないよ！！

·

「せんがぁ、なんかちゅーしたい気分」

ビッチかっ！！！！！

そのくるくるな髪の毛もきゅるきゅるした瞳も。
ぷるぷるした可愛い唇も、ツンって尖った鼻も
全部全部今は凶器でしかないからね！！

「ミツ～、俺がいるじゃ～ん」

でも、横から同じくやって来た泥酔気味のニカ。
こいつは堂々とミツの唇を奪った。