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K ページ2

·







“別れてくんない?”


“好きな女の子出来て、
今更目が覚めたっていうか。
なんで男と付き合ったりしてたんだろうって。
ごめん、やっぱお前と付き合うとか無理だわ”





俺の最悪な過去。





散々俺の気持ちを弄んどいて、
新しい彼女を作った元カレ。


俺は、これがずっとトラウマだった。




付き合って3年目の頃、
俺は幸せでいっぱいだった。
男を好きな俺を否定せず
愛を惜しみなく注いでくれた恋人に、
俺はこの人しかいないんだって思ってたのに。








そんな日々は一瞬にして切り捨てられた。




今までに見たことがないぐらいに、
嘲笑うような冷たい目で。






·






「······たま、もり」


「ミツ!?どうしたの!?」


「···も、むり」


「今すぐ行くから動かないで!」





力なく電話を切ると、
人の目なんか気にせずに
ただ涙を流して自分の家へと足を進めた。

周りの人は心配そうに俺を見ていた。
男が一人で顔をぐしゃぐしゃにして泣いていたら、
そんなの不気味にしか思わないだろう。


でも、俺はそんなことが気にもならないぐらい
心が空っぽだった。





鍵を閉める力もなく、
崩れ落ちるようにして玄関でまた涙を流す。
身体に力が入らなくなって、
気が遠くなっていくのを自分でも感じた。





「·······ミツっ、」



勢いよくドアが開くと、
弱っている俺を見て玉森は力いっぱい抱きしめてきた。



その時、一番人の温もりを温かく感じた。
ただ、玉森の胸の中で泣き続けたあの夜、
俺は玉森と関係を持った。



精神的にボロボロで、
後先なんて考えず
ただ何かに満たされたかったのだろう。

愛も何も無い行為に
幸せを感じてしまうほど、
あの時の俺は弱っていた。









·










·








「ミツー、また柔軟剤変えた?」


「おう、」




あれから一年が経つが、
俺らは何も変わらない。

幼馴染という関係も変わらないし、
友達でもある。
でも、身体の関係やめた訳でもない。


少しでも傷つけば、
お互いに感情をぶつけて、またリセットする。
こんな関係から俺らは抜け出せずにいたんだ。






「····ミツ、」



優しくソファーに押し倒されると、
今日も玉森は甘い声で囁く。







「······シよ?」



まだ俺たちは、何も変わってない。

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作者名:える | 作成日時:2018年6月17日 0時

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