最後の祈りを【蘭ジャン】 (ページ11)

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彼女が夢見た未来とはページ11

霧｢あ？｣

急に声を掛けられたため機嫌の悪そうな返事をしてしまったことを、すぐに後悔する。

霧｢ご、ごめん。何の用？｣

｢あ、あの、その本読み終わったら次いいですか？｣

霧｢あ…ごめん。これ、俺のなんだ。｣

｢え、そうなの？ごめんなさい！｣

霧｢いや、全然良いけど…｣

同級生…だよな。見たことある。

フランスにでも興味があるのか？

｢霧野くん、フランス好きなの？｣

霧｢え？いや、フランスが好きっていうか…｣

｢じゃあ、百年戦争？｣

霧｢じゃなくて…｣

｢もしかして、あなたもジャンヌ･ダルク！？｣

霧｢え…あなたもって、まさか君も？｣

彼女は嬉しそうに頷いた。

｢嬉しいなぁ、こんなところに同じジャンヌ好きがいたなんて！｣

凄いテンション高いな。不思議な子だ。

｢ジャンヌって教科書や伝記だと悪く書かれがちだから、好きな人なんて私くらいしかいないと思ってた！

かっこいいよね、ジャンヌ！｣

霧｢…！｣

｢凄い勇気の持ち主だったんだろうね！一度でいいから会ってみたいなぁ…。｣

その子の言葉を聞いて、思い出した。

ジ『あなたがくれた勇気で強く在れた私を分かってくれる人が少しでもいてくれたら、それだけで良いんです。』

あぁ…そうか。

これが彼女が望むこと。彼女が夢見た未来。

ジャンヌ…ちゃんといたよ。君を分かってくれる人。

たとえあの本が歪みない事実だったとしても…

霧｢…かっこいいよな、ジャンヌは。｣

｢うん！｣

きっと俺と彼女の2人はずっと、君に憧れ続けている。

ぎゅっと、制服の上から首にぶら下げているペンダントを握った。

でもこの炎だけは、消さないでと。