幼少時代 三話 ページ4
太宰「織田作ー」
織田「!!…太宰」
気だるげな声と、静かに開かれたドアで私と作ちゃんは体を離した。
──お兄ちゃんが来たから
太宰「今日は安吾といつもの所で呑みに行くって言ったの忘れたのかい?呼びに来たよ」
織田「ああ……そうだったな、忘れていた。」
作ちゃんはお兄ちゃんから私が見えないように背に私を隠してくれる。
私はバレないように息をひそませた。
お兄ちゃんに私を見せたくないから。
太宰「ところでさぁ」
低い声が響く。
その声でお兄ちゃんがどんな顔をしているか想像がついてしまう。
太宰「なんで君が織田作といるんだ。それで隠れているつもりか?バレバレなんだけれど。」
この部屋には私と作ちゃんとお兄ちゃんしか居ない。だからお兄ちゃんが指している『君』とは恐らく私の事なんだろう。
織田「何のことだ、太宰。この部屋には俺達しかいないだろう。」
作ちゃんがそう言うとお兄ちゃんは「へぇ」と面白そうに言う。
そして乾いた笑みを浮かべた。
太宰「君こそ何を言っているんだい、織田作。そんな奴を庇う必要なんてないさ。
そいつは出来損ないの自分のことすら守れないただの人形なんだから。」
人形───
「申し訳ありません、太宰幹部。
作ちゃんに手当を「作ちゃん?」
「っ……織田さんに手当をしてもらっていました。貴重なお時間を奪ってしまい申し訳ありません」
スっと作ちゃんの背から出てきてお兄ちゃんに言った。
作ちゃんと呼べば不機嫌な声が帰ってきた。
太宰「全くだ。君ごときが私の時間と織田作の時間を取らないでくれるかな。しかも手当だって?今日君が任された連中は弱い奴だろ。そいつら相手に負傷したのか?
本当に、君は駄目な奴だな。」
「っ……」
涙が出てきそう。
分かっていてもお兄ちゃんに言われると胸が痛む。
ごめんなさい、お兄ちゃん。
織田「太宰っそこまで言う必要ー!」
太宰「いいんだよ。言わないと分かんないんだから。」
行こう、織田作。
作ちゃんはお兄ちゃんに無理矢理連れて行かれた。
大きな音を立ててドアが閉まる。
独りぼっちだ。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい
お兄ちゃん。」
出来損ないの妹はいらないですよね。
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水無月(プロフ) - 白雪さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年7月6日 18時) (レス) id: 451a5f317f (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - レイさん» わっ!ありがとうございます……!めちゃくちゃ嬉しい! (2019年7月6日 18時) (レス) id: 451a5f317f (このIDを非表示/違反報告)
白雪 - すごく面白いです!更新待ってます! (2019年7月5日 21時) (レス) id: 567a821487 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 続きが凄く気になります!体調に気をつけて、作者さんのペースで更新頑張ってください! (2019年7月5日 7時) (レス) id: ff621c54c8 (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - "(ノ*>∀<)ノありがとうごさまいます!すっごく嬉しいです!続き待っててくださーい! (2019年6月27日 18時) (レス) id: 451a5f317f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水無月 | 作成日時:2019年5月31日 21時