仙人への贈り物 ページ10
「旅人、パイモン、次は望舒旅館に向かいましょう。降魔大聖がそこにいるかもしれないわ」
旅人とパイモンは、刻晴とともに仙人への贈り物を届けていた。
「降魔大聖といえば…刻晴って星のこと知ってるか?」
「星?ええ、もちろん。方士は天衡に所属しているから。でもなんで降魔大聖といえばなの?」
「え?い、いやいや気にするな!ふと思い出しただけだから!それより、刻晴から星はどうみえてるのか聞きたいぞ!」
「そう?そうね、私が星と出会ったのは…」
「つまりあなたは、ひとりで戦うと?」
「はい」
「夜に?」
「はい」
「…そうですか…」
玉衡刻晴は頭を抱えていた。
傍から見ればそのようには見えないが、内心とても困っていた。
少年からは、方士として雇ってほしいこと、夜にひとりで働かせてほしいこと。
また、ほぼ無休でいいが、5のつく日だけは夜12時までの半休がほしいこと。
満月の前日は休みをとることをお願いされた。
見目10歳ほど。
まだ成長盛りであるはずの姿からは威圧感も感じず、方士として雇うことはできなそうにみえた。
「親御さんはどうしたのかな…?」
「とっくに死にました」
「そ、そう。ごめんね」
「いえ」
このままでは埒が明かない。
この少年は本当に夜の璃月をひとりで生きることが出来るのだろうか。
親がいないということはモラがほしいだけなのか。
それならなぜ方士という職に就こうとするのか。
「じゃ、じゃあ、お姉さんと戦って、お姉さんが君を強いなって思ったら雇ってあげるし、お願いも聞いてあげるってことでどうかな」
「構わないです」
「そ、そう…」
私と戦うことになんの遅れもでない。
千岩軍の誰しもが恐れるのに、覚悟していたのかしら…。
「じゃあ、どうぞ」
「本気でやっていいんですか?」
「え、ええ」
そんなことを聞かれるもんだから、念のため自身の片手剣を構えて、万が一のために神の目も使えるようにしておく。
少年は、少年自身よりだいぶ長い槍を構え、こちらへ向かって足n…
「えっ」
瞬間、足に力を込める動作をみせることなく跳んだ。
刻晴の斜め上から、突き刺そうと槍を構える少年の姿を認め慌てて後ろへと下がるが、戦いの姿勢を咄嗟にとることは出来なかった。
「…はっ」
短い声を聞き取ると同時に、ガキンッと槍が地面と衝突する音がした。
これでは、舐めていれば殺されてしまう。
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てら(プロフ) - ページ1の1行目、タルタリ"ア"ではなくタルタリ"ヤ"です…細かいことですみません🙇♀️ (7月2日 21時) (レス) @page1 id: 372b4e8b3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆっく | 作成日時:2023年3月24日 22時