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缶詰知識 ページ28

臨月に近づいた頃、彼女の近くにはひとりの夜叉がいた。

雷を扱う夜叉で、しかしその身は業障に侵されていた。

あまり動けない身体で、ただ彼女を守るために、胎児に影響を与えないような距離をとってその場に留まっていた。












カーンルイアの災厄が終わり、終わったと同時に夜叉は死んだ。

業障に呑まれ、誰かに影響をあたえることなくそのまま燃えつきた。

夜叉は死ぬ間際まで彼女の子が無事に強く産まれてくることを願った。













産声がする。少しして彼女は赤子を産んだ。

想像の通りその子は純陽の体を持っていた。

しかし何か違う力も持っていた。

彼女はその子が無事に産まれたことを確認すると、笑顔を浮かべ‘○○’と名付け、すぐに亡くなった。













産まれた女の子は彼女の妹に引き取られた。

彼女の妹は彼女のことを嫌っていた。

純陽の一族に産まれたのにその体質を持ってないからであった。

要は嫉妬である。

そのため女性の子供も嫌った。

そして子を産んだために彼女が死んでしまったのだと考えた一族も赤子を憎んだ。

彼女はとても優秀な方士だった。












赤子は人より早く成長をした。

成長するごとに謎の力も強くなっていった。

そして彼女の妹の苛立ちも強まっていった。













「おい」

「あんた」

「お前」

名前を呼ばれることもなく、ご飯もろくに与えられない。

方士の家に産まれたのにも関わらず方術を教えられない。

純陽の体の扱い方も教えられない。

幼子の居場所は、ここにはなかった。

いつの間にか幼子は書庫に閉じ籠もって人から傷つけられない生き方を見つけたようだった。

書庫に籠もって方術を学び、試す。

ご飯時に台所から食べ物を拝借し、隠れて食べる。

そしてまた書庫に籠もる…。













「ちょっとあんた、ここで何してるの!?」

幼子が生まれてから5年近く経ったある日、ついに台所から食べ物を盗んでいたことがバレると彼女の妹は幼子を捨てた。

見ていた家族も眺めていただけでそれを止めることはなかった。

地は赤黒く、空は曇天にのまれている。

5年経ったとはいえ周りは魔神の残滓に満ちていた。

身を守るために拾った枝を振り回し、自身の謎の力が魔神の残滓を呑み込み、親から継いだ純陽の体のおかげかその場から魔神の残滓はかなり薄まった。

幼子は魔神の残滓による業障に呑まれそうになり、陽の気が暴走し、その場から倒れたまま動けなくなってしまった……。

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てら(プロフ) - ページ1の1行目、タルタリ"ア"ではなくタルタリ"ヤ"です…細かいことですみません🙇‍♀️ (7月2日 21時) (レス) @page1 id: 372b4e8b3a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆっく | 作成日時:2023年3月24日 22時

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