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「我か?我は…名乗るような名はない。
この地を守護している者だ。
先は無用に攻撃してしまいすまなかった。
お前はこの地の者でないが、観光しに来たのか?」
「まあそんな感じだけど。命令されてする観光より、君と戦う方が随分面白かった。それじゃあ僕は帰るよ」
「そうか。ならいい」
放浪者が振り返って帰路につく前に、
少年はバチっと音を立てて消えていた。
そういえば自分も名乗ってないし身分も明かしていない。
何を持ってあの璃月の守護者は、
僕がこの地に仇なすと考えなかったのだろうか。
「まあいいか」
あの移動の仕方から、あいつも人間でないのだろう。
人間でない者同士、話が分かるのかもしれない。
「あら、おかえりなさい。随分早かったわね。
璃月はどうだったかしら?どのような土地で、人々はどんな生活をしていたの?それから…」
「渇いた土だった。街には降りてない」
「なにも食べていないの?」
「僕は人形だ。そう食べるなんて無駄なことはしない」
「そう…」
ナヒーダの目には、放浪者の口の両端が少し上がっているように見えた。
何かいいことがあったように見えたが…それは聞かないことにした。
ただしナヒーダは知恵の神だ。
一生知らなくていいことなんてない。
結局いつかは聞くかもしれないが、今は。
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てら(プロフ) - ページ1の1行目、タルタリ"ア"ではなくタルタリ"ヤ"です…細かいことですみません🙇♀️ (7月2日 21時) (レス) @page1 id: 372b4e8b3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆっく | 作成日時:2023年3月24日 22時