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とある人形との話 ページ17

「全く、なんたって僕がこんなところに…」

放浪者は機嫌が悪かった。

それはもう、すこぶる悪かった。

ナヒーダもとい草神クラクサナリデビに

「たまにはスメールから出てみてはどうかしら?
新しいことを知るきっかけになるかもしれないわ!
本当は私が行きたいのだけれど、私がここを離れるわけにはいかないし…あなたに行ってきてほしいのよ。
場所は…そうね、璃月がいいわ!」

と、とんとん拍子に話を一方的に押し付けられ、反論する隙も与えられず街から追い出されたのだった。

璃月に行けというのなら、お望み通り行ってやろうじゃあないか。

一歩足を踏み入れたら帰ってやる。

そもそも僕は璃月に来たことがあるんだ。

新しいこともなにもないだろう。

そういえばこの前ここの神は死んだんだっけ。

イイザマだn

「死ね」

咄嗟に後ろへと下がった放浪者が見たのは、地面に深々と突き刺さった槍だった。

いつの間にか璃月の大地を踏んでいたようだが、そんなことは放浪者の頭に無い。

「いきなり攻撃するなんて、いい度胸だね。
僕は今、とても機嫌が悪いんだ」

放浪者が攻撃者の姿を目認したのは、立ち上がった砂埃が風にのって飛んでいった時だった。

そいつはとうに槍を抜いていて、そして…

「申し訳ない。人間や他の親しい気配に感じず、
妖魔だと思ったのだが違ったようだ。
しかし、お前の気配はどこかで…」

謝っているのにも関わらず、腕を組み不遜な態度で立っているひとりの少年の姿だった。

「へえ?全く謝っているようには見えないけどね」

「今機嫌が悪いと言ったな。もう夜が空ける。
妖魔も今日はきっともう出ない。
お詫びとして憂さ晴らしの相手ぐらいにはなろう」

「そこまで言うなんて、強いんだ。
じゃあしてもらおうかな!」

一気に飛び出した放浪者を槍でいとも簡単に受け止める謎の少年は、一切攻撃へ転じることはなかった。

本当にただ殴られる人形のようで、まあ攻撃は全く通じていないのだが。

しばらくして、だんだんいい暇つぶしにでもされてるんじゃないかと思い始めた放浪者はついに攻撃の手をやめた。

「お前は一体何なんだ?」

そう問いかけた頃にはすでに日は上り、空は青く染まっていた。

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てら(プロフ) - ページ1の1行目、タルタリ"ア"ではなくタルタリ"ヤ"です…細かいことですみません🙇‍♀️ (7月2日 21時) (レス) @page1 id: 372b4e8b3a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆっく | 作成日時:2023年3月24日 22時

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