【原神】仙人でも夜叉でもない。凡人でもない。 (ページ16)

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「星、我はもうお前の師匠ではない。その呼び名も敬語もやめろ。あと離れろ」

「次危険なことに足を突っ込むときは事前に僕に言ってくれるって約束してくれるならいいですよ」

「わかったから離れろ」

「はーい」

星は大人しく降りて魈のとなりに立った。

「じゃあオイラたちはそろそろ行くぞ」

「今度はあまり無茶しないでね」

パイモンと旅人はそう告げ、ワープしたのか姿を消した。

「おかえり、魈。お疲れ様」

「…ああ」

力を使い果たし、今日の妖魔退治は2人ともできそうになかった。

望舒旅館に帰るのもやめ、そのまま崖に腰掛けた。

2人で上を見る。

いつの間にか、空は暗くなりかけていた。

「望舒旅館と違って標高が低いところにいるけど、
星の様子はあまり変わらないな」

「…そうだな」

「でも僕ひとりで見る空と、魈と2人で見る空はきっと違うよ。ひとりで空を見上げても、虚しくなるだけなんだ」

「昔はそう感じていたのか？」

「…僕の記憶の中にそんな思い出はないけど…。
でもそう思ってた気がする」

「…そうか」

魈は星の事情を鍾離から聞きているので、小さい頃の記憶がないことを500年弱前から知っていた。

「記憶のない、幼少期にそう感じたのかもしれないな」

「…かもしれないね」

星のあのいつもの口調、雰囲気の仮面はずっと剥がれていたが、魈は特に何も言わなかった。

「帰るか」

「今日は僕も望舒旅館に行くよ」

「そうか」