恋心に蓋を【弍】

　≠ ページ4

先輩side

「この店だ」


　ここは遊廓が五つほど集まって形成された街だが、ここはその中でも一際大きい。



「わぁ〜立派な建物ですねぇ」
　
「おーい女将さんいる？」


　呑気に建物の前に突っ立っている後輩をよそに、女将さんを呼ぶ


「あー!!また来て下さったんですね、可愛い子沢山いるよ」

「いや、今日は後輩もいるんだ」

「ど、どうも。」

「おや、初々しいねぇ。」

「こいつに若紫をつけてやってくれよ」


　普通であれば花魁とそういうことをするのは最低3回は会わないといけないが、

「なぁ、これで頼むよ3回分だ」

　400万×3回分の小切手をピラピラと見せれば…

「おや、悪いお人だねぇ」

「そう言って懐にしまう女将さんもだがね」

　ニヤニヤと笑い合う俺達は遊女達にとっちゃ悪魔にでも見えてるんだろうなぁ


「若紫を呼んできますから、梅の間でお待ちください」



　梅の間で若紫が来るまで、ちびちび料理をつまむ

「酒も呑めよ、宴会の金もこっち持ちなんだから」

「分かりました…」


　ソワソワしてんなぁ、初めてだもんな。

「先輩、僕緊張してきました…若紫花魁と何を話したら良いでしょうか？」

「何でもいんじゃね？そもそも若紫は太夫でもあるわけだ、何話しても通じるだろ」

「先輩は何度も来たことあるんですよね？どんな感じの人なんですか」



　後輩の質問責めをしばらく受ければ、ノック音共に、錫を転がしたような声が聞こえた




『お待たせ致しんした、若紫でござりんす』
(お待たせしました、若紫でございます)





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　因みに、郭言葉は【恋する方言変換】を使っています。皆さんに分かりづらいと思いますので、下に訳をつけていこうと思います。

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