恋心に蓋を

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貴方side




　あの日から5日が経過した。３日休んで土日を挟んでしまったから、



　あの日、彼はどうせ名を名乗らなかったのだろう。帰ってきた時に周りにからブーイングをくらったと聞いた。普通に専属の庭師とでも誤魔化せば良いのに



　私が急いで帰ってしまったのは、姉さんとお得意様の訃報の知らせを受けたから。




“「実は、桐壺と浅野様が息を引き取りました」”



頭が真っ白になった



　 信じたくなかった




　桐壺姉さんは私が禿の時にお世話をしていた花魁だった。病にかかって切見世に行ってしまわれたけど、手紙のやり取りだけは続けた。借金も残っている遊女にはカードフォンなんて買えないから




　桐壺姉さんの様な花魁になりたくて頑張ってきたのに、、全盛期に輝きを放っていた姉さんは、骨が浮かび上がり冷たくなっていた。遺言通り、業者を呼び遺灰は海に流した




　浅野様。私の一番のお得意様で、来店された日には、数百万が１夜で消えた。それに、身請けを申し込まれていたから。だから彼の事を店は優遇し、何でも要望をのんだ。



　アナスティーマフィリア。異常性癖の1つ。身長差性愛とも言う。浅野様はアナスティーマフィアの持ち主だったのだ。




　浅野様は身長が高い殿方で180はゆうに越えていた、だから私には低くあって欲しい、と店に大金をはたき、店に指示をした。


　渡されたのは、白い錠剤。朝昼晩飲むように指示された。身長の発達を妨げる成分が入っているそうで、幼少期から身長はあまり伸びなくなった。

　
　浅野様は大変喜ばれた。いっそう大金をはたき、私に会いに来て一夜の夢をみていった。


　しかし、浅野様が亡くなられた事により店は大変な事に。これからどうしようなど、こんなに身長を低くしたのに使い物にならなくなるだの、店が騒がしかった。



　ほんの少しだけ、もう錠剤は飲まなくていいのかと淡い期待を抱いた



　期待なんて、してはいけないと分かっていたはずなのに


　結果的に、そういう癖を持っているお客はすぐに見つかった。


　代償に学校を３日も休んでしまったのだけれど。花魁の身請け先候補、しかも一番が失くなった事により、昔よりも予約が増えてしまった

　ああ、クラスの皆と会うのが少なくなってしまう、、自由が消えていく



→続く


(切見世=際下級の女郎や病気の遊女がいくところ)

(禿=遊女見習いの幼女)

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