同月、教室にて ページ2
.
『てなわけで、ふられちゃった〜大耳くん〜』
「そういう割には元気そうやんか」
『涙はもう既に枯れ果てた』
「……お、おう。…すまん」
前の席に座る大耳くんは、私が北くんを好いているということを 男子で唯一知っている人だ。
今や告白したせいで 北くん本人もそれを知っているのだけど、この際それはどうでもいいこと。
大耳くんが言う通り、軽々しく「ふられた」と言えるくらいにはなった。
初めはぽっかりと穴が空いたような気分で何をするにも上の空。友人たちがどうしたのかと訊いてきたので話したところ、ファミレスで急遽慰めの会が開かれ、喋っているうちに涙腺が決壊した。
泣くほどの失恋をしたのなんて初めてで、私自身どうしたらいいのかわからないのが現状で。
告白を断られたからといって、北くんを好きなことを諦める必要はないだろうとは思うけど、叶わぬ恋を抱き続けることは予想以上に辛そうだ。
好きになることを諦めようとするほど 視線は知らず知らずのうちに北くんを追い、耳はどんなに教室内が騒がしくても 北くんの柔らかく優しい声ばかり拾ってしまう。かなり重症らしい。
「信介のやつ、" 部活と勉強が優先や " 言うたんやろ」
『そうだよ、部活だけならまだしも勉強もだなんて真面目極めてる。好きしかない』
「ベタ惚れか。…まあ俺ら受験生やから」
『はあ、別に大学なんて通わなくてもいいんだけどな』
なんなら卒業だってしたくない。
このまま卒業なんてしてしまったら、二度と北くんに会えないような気さえする。
大学だって、先生たちや現役大学生は楽しいと言うけれど、北くんがそばにいないのなら 私にとってはどこだって暗く重苦しい場所にしか見えないのだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 723人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はやみこ - 北さん…かっこいい！とても素敵なお話でした。 (2020年5月24日 12時) (
レス) id: d7eec8a8e8 (このIDを非表示/違反報告)
あゆ(プロフ) - えええ、大耳くん？？？それは意味深だよぉぉ。君も素敵な男やなぁ。これぞ甘酸っぱいお話ですね。誰かの恋の裏には言い出せもしない失恋が隠れてるのかな何て勝手に想像してしまいました。 (2020年4月30日 23時) (レス) id: 8c1d6118a6 (このIDを非表示/違反報告)
氷水(プロフ) - うわあああ…たまたま見つけて読んでしまいましたが、とても素敵でした…素敵な北くんのお話をありがとう… (2020年3月26日 1時) (レス) id: b2d8d7cb3b (このIDを非表示/違反報告)
an20080321(プロフ) - もうさいっっっこうです！！素晴らしい作品ありがとうございました、、！！ (2020年3月12日 21時) (レス) id: ee660bdd63 (このIDを非表示/違反報告)
月埜(プロフ) - ありすさん» ありすさんはじめまして、ありがとうございます...！！この作品で少しでも多くの方に北くんをもっと好きになって下さったら嬉しい限りです。コメントありがとうございました！！ (2020年2月25日 22時) (レス) id: d1ca7a883a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月埜 | 作成日時：2020年2月14日 22時
