切り抜き 短編集

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ニ「ガヤー、パスッ」

藤「ん〜」



今日も変わらず、ゆるいバスケ部は
ここじゃないと感じてしまう

何がかは、分からないけど。



ニ「でね、千賀が〜」

藤「まじで？ふははっ」



笑顔に嘘はないし
楽しいと思うのに

こんなんでいいのかなって
まだ志望大学も決まってない

夢もない



藤「ニカはさ、将来何なんの」

ニ「何、急に」



ドリブルしたりシュート打ったり
早く渉来ないかなーと時計を見たり



ニ「何もー……ならない！」



スリーポイントシュートを決めた二階堂は
ドヤ顔とゆーよりは嬉しそうに笑うから
俺もつられて笑ってしまう



藤「ニカらしいね」

ニ「ガヤは？やりたい仕事でもあるの？」

藤「んー、ない……よっしゃ！」

ニ「ナイスシューッ」



見つからなくて
ただ時間が過ぎてくだけ

北山みたいになりたいけど。



藤「大学行ってもこのままなのかなー」

ニ「……」



北山はサッカー推薦来てるだろうし
どこ行くかまた聞こう

……卒業しても会えるかな



ニ「確かに夢を追う人ってかっこいいけど
俺は俺でいれたらいいかな〜〜」

藤「……」



バカなふりして笑うニカの
少し不器用な優しさに

未来ばかりに期待してる自分が少し恥ずかしくなった



藤「そうだよな、そっか」



今の俺が想像出来る未来が
今の俺をまんま表してるなら

それは何もしてない

ただそれだけなんだ
不安もなにも、ね

時間は過ぎてくんだから



藤「大学見学でも行ってみるか〜」

ニ「うわ〜〜ずっと1年でいたい〜〜」

藤「ふはは、ばーか」



不安はなくならないし
悩むのはしんどいから時間はかかるけど

考えたことが人ととなりを作るのだから

しんどいけど
頑張ろう



ニ「あ、わったー！」

横「お疲れ〜」

藤「渉！今着替えてくる〜」



頑張るって

思えたよ



藤「……」

ニ「がや？」

藤「わた、ごめん、今日先帰ってて！」

横「ん？わかった〜」



ふっと、北山を思い出して


悩み相談なんかしてないから
頑張ると言っても
なにを？って感じだろうけど

聞いて欲しいと思った


北山みたいになりたいから

毎日努力を重ねる君に憧れているから


頑張ると思えた今日

君に会いたい

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