切り抜き 短編集

5P F ページ12

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藤「……」



部室行ったら怒られるかな？

約束から20分が過ぎても北山は正門に来ない

サッカー部の人らが出てきた波もなくなり
暇なので部室見に行くことにした

校舎に入らずグラウンドの方から回ると近いはず

夜の学校か
想像より全然明るい



藤「あ」



校舎に入らず、グラウンド周りで行くと
部室の前に人影

サイズからして北山だろうなぁと近付いていく
鍵を片手に持ってる北山は中の人と話してるのか
声からして相手は1人？



藤「きた…

北「ごめんね」

藤「！」



声をかけかけたけど
ごめんね、それだけしか聞こえてないのに
木に隠れてしまった

夜だからまだ隠れられてる…よな？
……何話してるんだろう



「初めはお試しで付き合うとかっ」

北「ごめん」

藤「……」



告白…？



「分かった、大事な時期にごめんね」

北「いや…ありがとう」

「…うん」



はや…

俺帰った方がい？



「っ……ぐすっ」



告白した人は泣いてるからか
俺には気付かず横を走って通り過ぎた



北「待たせて悪かったな」



すぐあと、鍵を閉め終わった北山は
待ち合わせ場所に来たかのように自然に

俺に話しかける。



藤「……」

北「盗み聞きすんなよ〜、んはは」



普段と変わらず鼻にかかった笑い声
北山はよっぽど恋愛に興味がないのかな



藤「………」

北「藤ヶ谷？」



いつも北山の笑顔見れたら少し嬉しいのに
今はなんだか上手く笑えない…



藤「立ち聞きしてごめん…」

北「あー、いいよ。わざとじゃないのは分かってるし」

藤「……」



悪いのは俺なのに……

分かんないけど、なんか、モヤモヤする

北山の顔から視線を逸らし
正門に歩き出す



北「藤ヶ谷ー、待たせたてごめんな？機嫌なおせよ」

藤「違う、そんなので怒ってない」

北「んだよー何で怒ってんの？」

藤「怒ってねーって」



怒ってるってゆーか……



北「拗ねてんの？」

藤「拗ねてねー！///」



ひょこっと下から顔を覗かれて
慌てて否定してさらに早歩き

後ろから北山の笑う声が聞こえて
文句言おうと立ち止まって振り向くと君は



北「置いてくなって、寂しいじゃん」



ポッケに両手を突っ込み肩をすくめ、そう言った



藤「そんな……」

北「？」



悲しそうな顔すんなよ…



藤「…早く帰ろう」



なんでだろう



北「伝えたいことあったんだけど」

藤「……」



北山といると

北山のことしか


考えてない気がする



北「今日はやめとく」

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