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きみくんが退院してから、いつもと変わらない毎日

みんな普通に生活していて、“きみくん”の名前を口にする人なんていなかった

でも私は、きみくんの“またな”をずっと信じて、毎日きみくんのことを思い出していた


最初の一週間は、“いつ来るのかな?”って期待して

次の一週間は、“もしかして、来ないかも”って不安になって

その次の一週間は、“きみくんの嘘つき”って諦めかけていた



きみくんが退院して、1ヶ月が経とうとした頃、コンコンと病室のドアがノックされて

「A?」

ずっと聞きたかった声が、私の名前を呼んだ



「きみ…くん?」


「おう、久しぶりやなぁ」


「………うん」


「遅なってもぉて、ごめんな?」

そう言って、いつもは開いたままの病室のドアをピタッと閉めた


「他の奴ら来たら、ゆっくり喋られへんからな」

と、ベッドの端に腰掛け、学校や友達の話をしてくれた

1ヶ月以上学校を休んでいたきみくんは、遅れてしまった分を取り戻すために、毎日補修を受けていて、それがやっと昨日終わったそうだ


「Aは?調子 どぉなん?」


「まぁまぁ、かな?」


「友達は?出来たん?」


「ううん…でも、寂しくないもん」


「またまた〜、強がって〜」


本当に、寂しくないもん

きみくんとの思い出があれば、寂しくない


こうやって、会いに来てくれるなら、ちっとも寂しくない



「そんな寂しがりやの、Aちゃんに〜…」

“じゃ〜ん”と言って、きみくんが自分のカバンから取り出したのは


「うさぎ?」


「そっ。Aに似てるやろ?」

真っ白な、うさぎのぬいぐるみだった


「Aにな?土産 買うてこよう思ったんやけど、食いもんアカンし、何にしよ…って考えてたら、そいつと目があって…気に入った?」


「うんっ!すっごく可愛い。ありがとっ、きみくん」


「あっ。土産、Aにしかないから。他の奴らには内緒やからな」


「…うんっ、わかった」



“ほしたら、また来るな”

そう言って、帰って行ったきみくん



その日から、私はそのうさぎのぬいぐるみを肌身離さず持ち歩くようになった

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倉安LOVE - もちろんです。次回の新作も楽しみに待っています。これから寒くなってくるので体調には気をつけてくださいね。 (2018年11月19日 0時) (レス) id: 74ed2de143 (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - 倉安LOVEさん» 倉安LOVEさん、初めまして。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。これからもお付き合いいただけたら嬉しいです(*^ω^*) (2018年11月15日 22時) (レス) id: 19b6facfd4 (このIDを非表示/違反報告)
倉安LOVE - 初めまして最初から読んでいました。どのお話も感動しました。最後のヤスくんのお話では二人が付き合えてよかったと思いました。次の新作も楽しみに待っています。 (2018年11月15日 16時) (レス) id: 74ed2de143 (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - れなさん» れなさん、初めまして。コメント ありがとうございます^ ^毎回、楽しみにして下さっていたとの事。嬉しい限りです(≧∇≦)次回作、自己満発揮作品になるかと思いますが、お付き合いいただけると嬉しいです☆ (2017年10月26日 12時) (レス) id: 19b6facfd4 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 初めまして!完結お疲れ様でした!この短編集いつも楽しく読ませてもらってました!新作楽しみです!頑張ってください! (2017年10月25日 22時) (レス) id: b5ce47fc81 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちか | 作成日時:2017年9月14日 0時

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