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  非常事態である。
  今日もテラスの東屋で課題をしようと来てみれば、テーブルの上には仰向けの状態で落ちているセミ。

  もう一度言う、非常事態である。

 『・・・。』

  後退りして東屋から数歩離れれば、じりじりと照りつける太陽が私を襲った。
  じわじわと暑さで汗が滲んでくる。先程自販機で買ったばかりのキンキンの麦茶がなければ倒れていたかもしれない。

 『・・・。』

  数学の問題集を盾に私はまた数歩後ろに下がった。
  ・・・セミって確か足が開いてるか閉じてるかで生死の区別つけるんだっけ。
  どっちだ・・・あのセミは足を閉じている。どっちだっけ、閉じてるのが生きてるんだっけ・・・。わからない、ちくしょう。
  いつもは意味がわからないくらい鳴き叫んでいるくせにこういうときは静かにいやがって。許せん。

 「・・・なにしてんだ。」
 『わっ!』

  声に驚き振り返れば昨日の顔面詐欺少年、糸師凛くんがいた。
  手にはまた問題集を持っていたので彼は今日もここで出来もしない課題を進めるつもりなのだろう。

 「テメェ、今なんか腹立つこと考えてんだろ。」
 『考えてないヨ。』
 「チッ・・・で、んなとこで何やってんだ。」
 『・・・、・・・凛くん虫嫌い?』
 「あ?別に。」
 『よし!糸師凛キミに決めたぁ!』
 「は!?」

  私は瞬時に凛くんの背後に周り、彼の背中を押す。
  私の行動に混乱していた凛くんは東屋に目を向ければテーブルの上にいるセミに気付き、心底嫌そうな顔をした。

 「おま、ふざけんな。」
 『行け!凛!!破壊光線!!』
 「人をポケモンみてーに扱うな!!」
 『アブソルみたいな髪してるじゃん!!』
 「誰がアブソルだ!!」

  炎天下、わーぎゃーわーぎゃーと騒ぎ、ようやく凛くんはセミを処理するため前に出た(突き飛ばしたとも言う)。

 「・・・。」
 『い、生きてる?』
 「・・・。」

  凛くんはセミをじっと睨み。手に取ったうわまじかこいつやば。
  セミはシーンとして動かないのでどうやら死んでいるようだ。
  足閉じてるセミは死んでる。よし一生忘れない。

 『ありがとう凛くん、さっさとそれどっかやって。』
 「・・・。」
 『・・・凛くん?』
 「・・・。」
 『凛く、うわちょこっちもって近づくなやめ、やめろやめろおい!!ぎゃああ!!』



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みかん - 更新待ってる (1月2日 17時) (レス) id: 5b00a62990 (このIDを非表示/違反報告)
ミホ(プロフ) - 続きが気になるーー!! (7月6日 13時) (レス) @page49 id: 9767c8e410 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - めっちゃ面白いです…! (2023年1月26日 22時) (レス) @page45 id: aa1635ecd6 (このIDを非表示/違反報告)
MEI(プロフ) - 思わず涙が出そうになって必死に堪えてます…文才ありすぎでは??これからも頑張ってください、! (2023年1月23日 22時) (レス) @page43 id: 17b5c545cd (このIDを非表示/違反報告)
みく - 面白いです!夢主しんで欲しくないなぁ〜(´・ω・`) (2023年1月23日 7時) (レス) @page43 id: 6bb1bb04aa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年12月8日 1時

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