episode４６ ページ48
「まってまって、Aちゃんのことなんで知ってるの？」
私とAは仲がいいが、その話題を姉に出したことはない。
不思議に思って聞くと、「それは内緒かな」とはぐらかされたけれど、まあ大方Aとも公園で会っていたとか、そんなところだろう。
自慢の姉と、大好きな友達に接点があることが、なんだか無性にうれしかった。
Knights単独ドームツアーの全公演を終えた後。
俺はとある人と偶然再会した。
「……あ、」
「久しぶりね──瀬名くん」
5年前、たまたま足を運んだ公園で会った、少しだけ背の高い女性。
なぜか名前を教えてくれなくて、当時の俺はずっと「お姉さん」と呼んでいた。
「何年ぶりだろう。４年ぶりかな」
「俺が中３のときが最後だから……うん。４年前」
ここで立ち話をするのもなんだし、と俺と「お姉さん」はカフェシナモンに移動した。
少し話したいことがあったのだ。
「瀬名くん、アイドルになってたんだねぇ。この前テレビで見てびっくりしちゃった」
頼んだアイスコーヒーをひとくち飲んでから、彼女が言う。
最後に会ったとき、俺はまだ夢ノ咲に入っていなくて、モデルとして活動していた。
今と違って、散々低迷して、路頭に迷ったモデルだけど。
「"お姉さん"みたいにもっと背が高かったら、夢ノ咲に通わないでずっとモデルしてたかもしれないけどねぇ」
「何言ってるの、今では海外で活躍するトップモデルでもあるんでしょうに」
ぎこちなく笑う"お姉さん"。
俺は自分の身長がなかなかに伸びないことも当時相談していたから、嫌味っぽくなってしまった。
「そんなトップモデルの瀬名くんに、お姉さんがちょっとした朗報をプレゼントしちゃおうかな」
ふふ、と微笑む"お姉さん"。
なんだろう、と少し気持ちが早まったところで彼女が衝撃的なことを言った。
「例の"あの子"と瀬名くん。いつの間にか再会してたみたいね」
「──はぁ！！？？」
ガタっと勢い余って立ち上がる。
うしろのほうから「瀬名くんうるさいっすよ〜」という椎名の声がして、慌てて我に返り座る。
「ちょっとまって、俺とあの子が会ってた？ ごめんいつどこで？ 思い当たることないんだけど……」
柄にもなく早口になって、顔が熱を帯びる。
また会いたい、といつの日も思っていた相手と、いつの間にか再会していたと言われ、鼓動が早くなるのも感じる。
「その子の名前、勝手に言うのはよくないと思って今まで言ってこなかったけれど。
──"A"ちゃんっていうの」
それは突然のチェックメイトだった。
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咲愛(プロフ) - ﾂｷさん» コメントありがとうございます！始まった頃から読んでいただけているとは、大変うれしいです！続きは本日中に公開出来たらと思ってますので、ぜひぜひ今後ともよろしくお願いします！ (2023年2月22日 16時) (
レス) id: 8b89f62398 (このIDを非表示/違反報告)
ﾂｷ(プロフ) - この作品が始まった頃から楽しく読ませて頂いてます！毎日更新が楽しみで素敵な作品に出会えたなと思いました！続き楽しみに待ってます！ (2023年2月21日 22時) (レス) @page50 id: 56454ebf31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲愛 | 作成日時：2023年1月27日 12時
