episode３３ ページ35
「悪いんだけど、Aちゃん。しばらくシフト入れられない」
いつものように出勤した私に突然店長がそう言った。
そんなこと今までなかったし、スタッフの中でも聞いたことがないため私は混乱した。
「な、なんでですか」
少しだけ震える声で尋ねると、店長はバツの悪そうな表情をして「苦情というかクレームというか。そういうのが多発してるの」と答えてくれた。
頭をがんっと殴られたような感覚に陥る。
苦情
クレーム
どちらもないように、研修段階から細心の注意を払って仕事に取り組んできた。
それなのに、実際に問い合わせられている。しかも、一件ではなく「多発」。
心当たりはない。
強いて言うなら、先日来たさくらへの対応を見て不快な気持ちにさせてしまったお客さんがいたのかもしれない。
だったらもちろん私に非があるけれど、今後は気をつけることができるし、それくらい店長も分かってくれるはずだ。
なのに、なぜ、しばらくの出勤を制限されてしまうのだろう。
「もちろん、Aちゃんが奨学金で大学通ってるのも知ってるし、一人暮らしをしていて趣味にもお金を使ってて、余裕がないこともわかってるの。だからしばらくの間入れてもらえるバ先は私が責任もって紹介するから」
「──クレームって、具体的になんて来てるんですか」
店長の言葉を遮る形になってしまったけれど、どうしても気になって尋ねた。
返ってきた答えは、想像を凌駕するものであった。
「Aちゃんが──ファンとして、瀬名泉くんと繋がってるんじゃないかって。そんな非常識な人を働かせていいのかって」
視界が一瞬、真っ白になった。
「なにそれ、そんなのお店に関係ないじゃないですか……っ」
「その通り。でもAちゃんが瀬名泉くんと繋がってるのは事実でしょう。
オーナーから聞いたけど瀬名くんのファンなんだよね。黙ってたのはまあ仕方ないとしても、そういう事情があるのにSNSで繋がるのはほかのファンへの冒涜と思われても仕方ないと思うな。
それに、そもそもご主人様とのSNSの交換は禁止ってルールだし──これはクレームの対象よね。もともとそういう決まりでテレビのお仕事の依頼もらってるんだから」
ね？ と言われ私はうつむく。
店長は何ひとつ間違ったことは言っていない。
私が第三者の泉くんファンだったら、すごく不快だと思うし、SNSの交換禁止のルールを破っているという事実を知れば怒りすら湧くかもしれない。
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咲愛(プロフ) - ﾂｷさん» コメントありがとうございます！始まった頃から読んでいただけているとは、大変うれしいです！続きは本日中に公開出来たらと思ってますので、ぜひぜひ今後ともよろしくお願いします！ (2023年2月22日 16時) (
レス) id: 8b89f62398 (このIDを非表示/違反報告)
ﾂｷ(プロフ) - この作品が始まった頃から楽しく読ませて頂いてます！毎日更新が楽しみで素敵な作品に出会えたなと思いました！続き楽しみに待ってます！ (2023年2月21日 22時) (レス) @page50 id: 56454ebf31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲愛 | 作成日時：2023年1月27日 12時
