episode29 ページ31
そんなさくらはガチ恋勢──「リアコ」だということも知られている。
Knightsのはそのコンセプトからリアコのファンが多いのだけれど、さくらはその中でも群を抜いて目立っていた。
服装やメイクは完全に量産型オタクという感じで特に浮いている感じはないけれど、度を過ぎた言動がたびたび問題視されている。
だから、わざわざ私のところに来るなんて、心当たりは一つしかない。
「私の泉があんたのことフォローしたのは、ビジネスなの。わかってるよね」
つっけんどんな泉くんがまるで自分の所有物かのような、言い方だった。
イラっとしたし、一瞬で最悪の気分になった。
「なんですか、いきなり」
「お前が調子に乗ってるから言ってんだよ」
少し血走った目。
正直、怖い。
「調子になんか乗ってません」
「乗ってるよ。じゃあこれは何?」
ぐいっとスマホの画面を突き出される。
それは、私のTwitterのスクショ。
泉くんのツイートをリツイートした部分を切り取られている。
お店に行きました〜という内容を載せていたから、それをリツイートしただけだ。
何が、悪いというのだろう。
それに、
「それは瀬名さんと相互になるより前にリツイートしたのですが……?」
「あ〜はいはい」
うるせえな、と舌打ちをした。
「まあいいよ。私は釘刺しに来ただけだから」
ふふ、と微笑んだ彼女は、悔しいけれどきれいだった。
「調子乗ってると痛い目見るよ……超うざい」
後半、少し声が震えていた。
まるで今にも泣きだしてしまいそうな程に。
子供のように、きれいな顔をぐしゃっと歪めて、どこか遠くを見ていた。
見惚れてしまうかと思うくらい素敵な笑顔は、もうどこにもなかった。
もしかしたら、彼女に何かあったのかもしれない。
そう思ったけれど、私が気にかける義理はないし、干渉したところでさくらにも迷惑だろう。
ちょっぴり傷ついて、今日のお給仕は終わった。
「A〜今日のラスト大丈夫だった? なんか怒ってたみたいだけど」
「うん平気。少しイライラしてたらしくて、ストレス発散に来たんだって」
「たまにそういう人いるよね……おつかれさん」
帰る途中、私とさくらのやりとりを遠くから見ていたらしいりんちゃんが心配してくれた。
私は気にしてないふりをしたけれど、心底気分は最悪。
推しをモノ扱いしているさくらも、仕事中なのに冷静さを欠いてしまった自分にも。
「よっしゃりんちゃんカラオケいくか!」
「フッ軽すぎ……いいけど」
これはばーっと発散しなきゃやってられない。
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咲愛(プロフ) - ツキさん» コメントありがとうございます!始まった頃から読んでいただけているとは、大変うれしいです!続きは本日中に公開出来たらと思ってますので、ぜひぜひ今後ともよろしくお願いします! (2023年2月22日 16時) (レス) id: 8b89f62398 (このIDを非表示/違反報告)
ツキ(プロフ) - この作品が始まった頃から楽しく読ませて頂いてます!毎日更新が楽しみで素敵な作品に出会えたなと思いました!続き楽しみに待ってます! (2023年2月21日 22時) (レス) @page50 id: 56454ebf31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:咲愛 | 作成日時:2023年1月27日 12時