episode１４ ページ16
Knightsのドームツアーを控え、1か月ぶりに日本に帰ってきた。
月単位で国を飛んで、さすがに疲れないと言ったらうそになるけれど、
仕事がたくさんあるのは本当にうれしくて、もっともっとと高みを目指してしまう。
それが、生きがい。
「フィレンツェでのお仕事おつかれさまでした」
プロデューサーのあんずが空港で迎えてくれた。
「車がまだ用意できていなくて……申し訳ありません」
「ん、来るまで待ってる」
「……ダジャレですか？」
「なわけないでしょ」
すっかりプロデューサーとして"大人"になってしまったあんずと、
久しぶりに"会話"ができた気がした。
夢ノ咲でもそこまで仲が良かったわけではないけれど、最近は特に心の距離を感じる。
まあそれが仕事としては正解の付き合いなんだろうけど。
「あ、何か飲み物買ってきますね」
「いいよ俺が行く」
「え？ でも」
「飛行機乗りっぱなしで足疲れちゃったし。歩かせてよ」
返事を聞かずに自動販売機を探しに向かう。
その道中でのこと。
「あ、あのっ！ 瀬名泉さんですよね！？」
はやる心を落ち着かせようと必死なのが伝わる、周りへの配慮も考えたボリュームの、でも少し、上ずった声。
「うん、そうだよ」
サングラスにマスクをつけているのにバレた。
茶色のボブで、かわいらしい目元の女の子。
いわゆる「量産型オタク」というやつだろうか。
ふわふわした洋服を身にまとっている。
あまりそういう系統は好きではなかったけれど、この子みたいに似合っているならアリなのかなー、なんて考える。
モデルをしていると自然と相手の服装に意識がいく。
「わ、たし泉くんのことがずっとすきで……！ファンとして、も、なんですけど、 」
嫌な予感がした。
「ひとりの、男性としても……！！」
その続きは聞きたくない。
「いつも応援ありがと、お姫さま」
ぱあっと華やいだ彼女の表情を見て、続きを言うか迷ったが、結局口にした。
「……悪いけど、俺、自分のファンのこと恋愛対象として見れないから」
酷く傷ついたように震えたあの瞳を、俺は忘れられない。
「おまたせ」
「ありがとうございます」
買った飲み物を渡して、自分の分を飲み始める。
「そういえば瀬名さん今トレンド入りしてますよ」
「えーほんとー？」
特に何かあったように思わないけれど、トレンド入り。
なんだろうか。
「瀬名さんがメイドさんフォローしたって」
「は？」
ファンの人たちは俺のフォロー欄まで見ているのだろうか。
俺も相手のメイド――Aさんも投稿なんてしていないのに。
「下心は」
「あるわけないっての」
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咲愛(プロフ) - ﾂｷさん» コメントありがとうございます！始まった頃から読んでいただけているとは、大変うれしいです！続きは本日中に公開出来たらと思ってますので、ぜひぜひ今後ともよろしくお願いします！ (2023年2月22日 16時) (
レス) id: 8b89f62398 (このIDを非表示/違反報告)
ﾂｷ(プロフ) - この作品が始まった頃から楽しく読ませて頂いてます！毎日更新が楽しみで素敵な作品に出会えたなと思いました！続き楽しみに待ってます！ (2023年2月21日 22時) (レス) @page50 id: 56454ebf31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲愛 | 作成日時：2023年1月27日 12時
