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十八話 ページ19

陽はまだ昇りきっていない。

まだ僅かに香る朝露の匂いを掻き消す程のむせ返るような鉄の匂いが 烏城のある一室で充満した。
その中心で、血塗れになって人を殺す彼女…、Aが複数人の死体が転がり、唯一生き残った1人の女中と対峙して居た。


「…なぁ、てめぇは誰だ?化粧と、薬と…、男の匂い…。
なにより‥血の匂いがする…っ!!」
「っ!!」


ガキィ…ィン!!


俯いていた顔がゆらりとあがると、ギラギラと獲物を捕らえる獣のような琥珀色が覗く。先程まで彼女に立ち向かった"同業者"の成れの果てが頭の中によぎり、ぞくりと背筋を凍らせた女中が懐からクナイを投げた。
Aの殺気に対して 咄嗟な動作で投げられたクナイは焦りと微かな手の震えによって容易くAに弾かれる。
その反射神経に一瞬でも驚愕してしまった女中に化けていたくノ一は、その一瞬の隙に懐に入り込まれていた。

Aは短刀を逆手に持つと、迷いなくくノ一の肩にその刀身が全て収まるまで深く、ソレを刺し込んだ。
ぶつん、と肉を断つ切っ先からの生々しい感覚は一瞬のことで、一拍置いてから、大量の血が溢れ出す。


「っ、ぁぁあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"__」
「うるせぇ。」


痛みで悶え苦しむくノ一をうつ伏せに押し倒すと、そのまま暴れようとする彼女を背中に膝を乗せて動けぬように押さえつける。


「答えろよ。てめぇは誰だ。誰が主人だ。なんで市の菓子に…毒 盛った?」
「ひっ…、っっぐぎぃっ、い"っ、あ"ぁぁあ"!!言う!言うからぁぁあ"あ"っ!!」


最後の問いかけで 更にAのさっきが膨れ上がった事に恐怖したくノ一は、喉の奥から引きつった声が出てしまい、一気に短刀を引き抜かれたことの激痛に呆気なく情報を吐いた。


「っ、わ、たしは…ぅ、武田軍の、くノ一…っ佐助様のっあぐっ…、命…っで、必要なら…危険人物を…っ殺せ、と___」
「…あっそ。じゃあそのサスケって奴に会ったら、ぶっ殺してあげるから、もう死んでも 良い。」


言葉の途中で、くノ一は腕に違和感を感じた。
なんだろう。着物がどんどん濡れていく…
肩の痛みに耐えながら疑問に思うくノ一の眼前に、ぼとりと何かが落とされた。
やけに見覚えのあるもので、手首から掌にかけてついた裂傷の跡は紛れもなく、

私の…腕だ‥。

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まゆ - 面白かったです^_^ヒロイン、強くて、かっこいいですね^_^市ちゃんとのやりとり、ほのぼのしていて癒されました^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2017年11月25日 22時) (レス) id: 8c0a96a096 (このIDを非表示/違反報告)
狩有(稀にアーロ)(プロフ) - 雅姫さん» アーロです!殺戮シーンは狩有が担当しますが、やっぱエグいですよねぇ…。どこでそんなやり方を仕入れたのかが恐ろしくって聞けません(汗) 歪んだ二人だからこその異常なほのぼのが生まれるんです。いやぁ、BASARA4のお市可愛いなぁ(( (2016年8月31日 15時) (レス) id: fa9e2a923d (このIDを非表示/違反報告)
雅姫 - うわああ!主人公、殺し方が恐い!だけど、市とのやり取りにほのぼのしたのは何故だろう…? (2016年8月30日 21時) (レス) id: 471bbd1612 (このIDを非表示/違反報告)
狩有(稀にアーロ)(プロフ) - 百久一目さん» はい!これからも主人公の心の変化などに、乞うご期待です!(笑) (2016年6月26日 16時) (レス) id: fa9e2a923d (このIDを非表示/違反報告)
百久一目(プロフ) - わァい!!(呵呵大笑)では嬉々として怡怡として楽しみにしさせて戴きますね!!(感性がズれていて申し訳ありません) (2016年6月26日 15時) (レス) id: 421761368c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狩有&アーロ | 作成日時:2016年5月6日 1時

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