十六話 ページ17
「ひっ‥！」
「あ？…ンだよ。テメェか」
天海によって自分の命が危ないと知った金吾は、ようやく長い軍議を終え 湯浴みを済ませて床につくため自室に向かっていた。
‥が、運の悪いことに 自分の苦手な人物とばったりと鉢合わせになってしまった。
もうかなり夜が更けているというのに短刀をもって城を徘徊していたのではないか。
名前のないこの女性は、琥珀色の瞳を持った鋭い目を更に鋭くし、ぎろりと金吾をにらみつける。
あからさまに不機嫌だというようなその表情が、やはり自分の知り合いに似ていて、金吾は再び情けない悲鳴を上げた。
「ごごごっ、ごめんなさいっ！！邪魔でしたよねすぐ居なくなりますから許し＿＿」
「…テメェは何に迷ってる‥。」
「‥‥‥はぇ？」
一国の主としてどうかと思うが、もはや慣れてしまった土下座を即座に彼女に向かって膝をついて額を床に擦り付けて許しを乞うていると、自分も予想しなかった言葉が降ってきた。
え‥？と思わず驚きながら顔を上げると、怪訝な顔で金吾を見下ろす彼女が居た。
「な、にに‥って、……僕は、これでも一国の主だから みんなの為を思って行動しているつもりなんだ。でも僕、三成君や元就様にもよく怒られちゃうし、それに＿＿」
「〜〜っっ！！！るっせぇなぁ！ぐちぐちぐちぐちと、そんなんだからテメェ、見ていてむかっ腹が沸く！」
「む、むかっ腹って…」
金吾のあまりにも長い話に気の短い彼女はすぐに緒が切れた。
うぜぇだのじれったいだのと次から次へと自分に投げられる暴言は容赦なく金吾の心をえぐる。
自分ただ早く寝たかっただけだというのに‥
「どうしていつもこうなるの…」
「あぁ！？」
「ひぃっ！？」
心の本音が遂に口から零れ落ちた。
ものすごい勢いですごまれて慌てて口を押えたが時すでに遅し。今の今まで野生で生きてきたような彼女が聞き逃すはずもなく、金吾の胸ぐらをつかんだ。
「どうしてだぁ！？んなもん決まってるだろ！オレは今まで独り！なんでも今まで自分で知って生きた！テメェは大方、他の奴らに囲まれて、何不自由なく ″幸せに″ 生きた！
んな奴いきなり戦や殺しができる訳ねぇ！
じゃあ知れ！自分の力で！何を どうすれば上手くできんのかなんて、自分で考えろ！！
自分でやんなきゃなんもできねえ！それが理由！」
「自分で…」
言うだけ吐き捨てると、彼女は金吾をその場に捨て置き去って行った。
ぼんやりと眺めたその背中は、迷いなど なかった。
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まゆ - 面白かったです^_^ヒロイン、強くて、かっこいいですね^_^市ちゃんとのやりとり、ほのぼのしていて癒されました^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2017年11月25日 22時) (
レス) id: 8c0a96a096 (このIDを非表示/違反報告)
狩有(稀にアーロ)(プロフ) - 雅姫さん» アーロです！殺戮シーンは狩有が担当しますが、やっぱエグいですよねぇ…。どこでそんなやり方を仕入れたのかが恐ろしくって聞けません（汗） 歪んだ二人だからこその異常なほのぼのが生まれるんです。いやぁ、BASARA4のお市可愛いなぁ(( (2016年8月31日 15時) (レス) id: fa9e2a923d (このIDを非表示/違反報告)
雅姫 - うわああ！主人公、殺し方が恐い！だけど、市とのやり取りにほのぼのしたのは何故だろう…？ (2016年8月30日 21時) (レス) id: 471bbd1612 (このIDを非表示/違反報告)
狩有(稀にアーロ)(プロフ) - 百久一目さん» はい！これからも主人公の心の変化などに、乞うご期待です！（笑） (2016年6月26日 16時) (レス) id: fa9e2a923d (このIDを非表示/違反報告)
百久一目(プロフ) - わァい!!(呵呵大笑)では嬉々として怡怡として楽しみにしさせて戴きますね!!(感性がズれていて申し訳ありません) (2016年6月26日 15時) (レス) id: 421761368c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩有&アーロ | 作成日時：2016年5月6日 1時
