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十三話 ページ14

「……出来た。」
「おー。」


暫く経って、彼女の髪が綺麗に整ったのは日が沈みかける黄昏時だった。
中々複雑に絡まった髪は 魔手の力も借り、やっとの思いでまっすぐに整った。

もともと質のいい髪だったのだろう。
艶の出た髪は、多少のクセがあるものの、滑らかで柔らかい。
長い前髪も邪魔にならない程度までになって、膝裏まで伸びきった後ろ髪は綺麗に切り揃えられ、高い位置で一つに結い上げられている。


そして何より…、
意外にも長かったまつげに縁取られた猫のように鋭く、黄色に近い琥珀色の目は美しく澄んでいて、お市は思わずうっとりとした恍惚の眼差しでそれを眺める。


「嗚呼、なんて綺麗…」
「…そうか?昔はこの目珍しさにオレは狙われたからな…この目嫌いだ。」


忌々しげにそう言いながら鏡に映った自分の目を睨む彼女は、不意に顔をこちらに向けて なぁ、と声をかけた。


「名前。」
「…名前?」
「市が決めてくれよ。…オレの名前。」
「……え、」


唐突すぎる注文に、お市は目を瞬いて戸惑った。
それでも、自分を見つめる大好きな琥珀色が、自分に決めてもらいたいと言ったことに、例えようもなく嬉しさが込み上げてくる。

思わず頬が緩み、分かった と言った自分の顔はどんなにだらしのないことだろう。
それでも、満足そうにちょこっと笑った彼女のために、素敵な名前を考えなくては、とお市は思った。



__ 嗚呼…いつまでもこの優しくて甘い、穏やかな時を過ごしていたい…



脳裏に浮かぶ、どこか懐かしい背に触れようと思わず手を伸ばす。
しかし それに触れることは叶わず、代わりに少しかさついた手が、お市の柔らかな手を握った。



「…‥?」
「………追いかけるんじゃねーぞ。」



今はオレが、そいつの代わりになってやる。

そう言ってにししと笑う優しい殺人鬼に、お市は頬を伝う涙を拭うことなく、ただ ありがとう。と繰り返す。

それに殺人鬼は照れたようにそっぽを向き、


「…おー。」


と、短く返事をするだけだった。

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まゆ - 面白かったです^_^ヒロイン、強くて、かっこいいですね^_^市ちゃんとのやりとり、ほのぼのしていて癒されました^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2017年11月25日 22時) (レス) id: 8c0a96a096 (このIDを非表示/違反報告)
狩有(稀にアーロ)(プロフ) - 雅姫さん» アーロです!殺戮シーンは狩有が担当しますが、やっぱエグいですよねぇ…。どこでそんなやり方を仕入れたのかが恐ろしくって聞けません(汗) 歪んだ二人だからこその異常なほのぼのが生まれるんです。いやぁ、BASARA4のお市可愛いなぁ(( (2016年8月31日 15時) (レス) id: fa9e2a923d (このIDを非表示/違反報告)
雅姫 - うわああ!主人公、殺し方が恐い!だけど、市とのやり取りにほのぼのしたのは何故だろう…? (2016年8月30日 21時) (レス) id: 471bbd1612 (このIDを非表示/違反報告)
狩有(稀にアーロ)(プロフ) - 百久一目さん» はい!これからも主人公の心の変化などに、乞うご期待です!(笑) (2016年6月26日 16時) (レス) id: fa9e2a923d (このIDを非表示/違反報告)
百久一目(プロフ) - わァい!!(呵呵大笑)では嬉々として怡怡として楽しみにしさせて戴きますね!!(感性がズれていて申し訳ありません) (2016年6月26日 15時) (レス) id: 421761368c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狩有&アーロ | 作成日時:2016年5月6日 1時

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