検索窓
今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:11,465 hit

一話 ページ2

物心ついた頃には何もなかった。
親 友人 故郷 何もかも全部。

まだ餓鬼だったオレは、ヒトに捕まって、ヒトに売られた。
他にも売られる奴らがいた。一人でも売れば 金 が入る。それを見て幸せそうなその ヒト にこう思った。


__ 殺したい。


あとはもう簡単だった。
手元にあった短刀で首を刺せば、すぐに死んだ。


__ 嗚呼なんだ、最初からこうすれば良かったんだ。


オレは幸せじゃないのに、こいつだけ幸せ。そんなの、可笑しい。
一回で済むはずが、外に出れば幸せな奴らばかり。…なら一層の事、殺せばいい。


こんなことを繰り返して、もう何年経った?考えるのは面倒だが、かなり経った気はする。


ふ、と自分の足の下で泣き喚く山賊を見てそう思った。

うつ伏せで背中に短刀をぶっ刺されて、グリグリ動かせば痛い痛いと喚き散らして、生きようともがく。顔をくしゃくしゃにして、餓鬼みたいに泣き叫ぶ。

ぞく、と背筋に痺れが走る。



「たっ、助けてくれ…!!なんでこんなことっ!ぃ、命だけは‥っ命だけはぁぁ…っ!!」
「…なんで?オレの前で満ちた顔してた。理由なんて、それだけ。」


にっこり笑ってそう言えば、一瞬にして絶望したような顔に変わる。
それを見るだけでもう、顔のにやけが止まらない。ずるりと背から短刀を引き抜くと、山賊が何かを呟くと同時に、刃を振り下ろした。




__ 狂人め。




「…なんとでも言うがいいさ。」


ごろりと転がる大きな頭を、そのまま勢いよく踏み潰す。
ぐしゃり、と音を立てて頭が潰れて、コロコロ転がる目が、責めるかのように俺を見ている。



「く、くく…っ、ふはは…!残念だったねぇ…?ふふっ、死んだら何も言えないよ。はははっ!」


何かいいたげな目が可笑しくって、腹を抱えて笑えば、背後から鈴みたいに綺麗な声。



「貴女…だぁれ?」



振り向いてそこにいたのは、


バカな自分でもわかるほど、キレイな、身分の高い女の人。

二話→←設定



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (22 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
21人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

まゆ - 面白かったです^_^ヒロイン、強くて、かっこいいですね^_^市ちゃんとのやりとり、ほのぼのしていて癒されました^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2017年11月25日 22時) (レス) id: 8c0a96a096 (このIDを非表示/違反報告)
狩有(稀にアーロ)(プロフ) - 雅姫さん» アーロです!殺戮シーンは狩有が担当しますが、やっぱエグいですよねぇ…。どこでそんなやり方を仕入れたのかが恐ろしくって聞けません(汗) 歪んだ二人だからこその異常なほのぼのが生まれるんです。いやぁ、BASARA4のお市可愛いなぁ(( (2016年8月31日 15時) (レス) id: fa9e2a923d (このIDを非表示/違反報告)
雅姫 - うわああ!主人公、殺し方が恐い!だけど、市とのやり取りにほのぼのしたのは何故だろう…? (2016年8月30日 21時) (レス) id: 471bbd1612 (このIDを非表示/違反報告)
狩有(稀にアーロ)(プロフ) - 百久一目さん» はい!これからも主人公の心の変化などに、乞うご期待です!(笑) (2016年6月26日 16時) (レス) id: fa9e2a923d (このIDを非表示/違反報告)
百久一目(プロフ) - わァい!!(呵呵大笑)では嬉々として怡怡として楽しみにしさせて戴きますね!!(感性がズれていて申し訳ありません) (2016年6月26日 15時) (レス) id: 421761368c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:狩有&アーロ | 作成日時:2016年5月6日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。