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カーテンでしきられたここ
少々キツイ匂いがするこの空間が僕は嫌いだ
自由を失うこの場所は退屈でしかない
一日中、ずっとここに
僕は今日も退屈していた
渉でも来てくれないかな??
彼が来てくれれば随分楽しめるのに
渉は物語で出てくる英雄のような酷く美しい容姿に対し、とても奇抜だ
僕にたくさんの驚き＿＿Amazingをくれる
ふと、壁際の美しい真紅の薔薇に目を向けた
花弁が何枚か落ちてしまっていて、なんだか哀れだ
じっと薔薇を見つめていると、病室の扉が開く音がした
誰かが来たのだろう。
気になってカーテンを少しだけ開けると迷い込んでしまったアリスのように恐る恐るこちらに入ってくる女の子がいた
高校生くらいの、可愛らしい女の子だ
軽く左肩に三つ編みを施し、タレ気味の瞳が優しい雰囲気を漂わせていた
「 どうかしたのかい？ 」
なんだか気になってしまい、そっと声を掛けてみた
少女は小動物のように肩をビクリと震わせ、僕の方を見た
いきなり声を掛けたから驚かせてしまったかな??
「 あっ、えっと...友達のお見舞いに来たんですけど...ここじゃないですね。すみません、失礼します!! 」
逃げるように出ていこうとする少女の手首を反射的に掴んだ
少女は目を丸くさせて僕が掴んだ手を見た
「 ごめんね。今物凄く退屈なんだ。よかったら少し一緒にお話でもしないかい？ 」
＊
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作者名：夏目さくら | 作成日時：2017年4月21日 17時
