御伽噺*玖 ページ10
*
『「あ。」』
二人が出会ってから暫く経った頃、
再びあの河原で会った。
「今日は」
『こっ、こんにちは…。』
少年の挨拶に戸惑いながらも返す少女。
まさか此処で会うとは。
ふい、目を逸らす。
「貴女も家、この辺なのですか?」
『…ん。』
お互いの手元を見てみると洗濯物が。
少年は何かを考える素振りを見せ、口を開いた。
「折角ですし、お話しませんか?」
『巫山戯無いで。』
少女はいきなりの事でつい、悪態をついてしまった。
まずい、と内心思って『違うっ!』と
直ぐに否定したものの、少女にこの後
どうすれば良いかなんて分かる筈もなくて。
あたふたし始める。
『違うんだ…ぇと…その…っ。』
何か良い言葉は無いものか。必死に捜すが出てこない。
きょとんとした表情の少年はあたふたしている少女の
答えを待った。
そして少しすると一言、
『…嫌、じゃ無い。』
少年の方を見た。
*
*
*
「あの」
『なに。』
「お名前、教えて頂けませんか?」
二人並んで河原で洗濯物を洗っていると
少年が少女に言った。
少女は手を一旦止め、視線を少年に向ける。
しかし
『そんなもの、しら無くたっていいでしょ。
私も貴方に訊こうなんておもわ無いし。』
ぶっきら棒に答え、再び視線を手元に戻し手を動かす。
「私は丁と言います」
『貴方、私のはなし、きいてるの?』
「貴女の名前、教えてください」
『ちょっと。』
話を聞かない少年_丁に対し、
苛立ったのか、むきになる。
「貴方の名前、知りたいんです」
『嫌。』
丁「教えてください」
『嫌。』
こんなやり取りをしている内に洗い物は終わった。
すると急な事を言い出す。
「私の事、嫌いですか?」
『………そんなこと、無い。』
「私の事、信じられませんか?」
黙り込む少女。
「私は貴女と仲良くなりたいんです」
『私は貴方と違う。』
「私と同じです」
『違う。貴方は人間。私は鬼の子。
呪われた忌み子なの。鬼と人はおなじじゃ無い。
賢い貴方なら分かるでしょ!?』
少女は叫ぶ様に言う。もう深入りするな、
して欲しく無いと言う一心で。
『貴方まで悪くいわれるのは、絶対に嫌。』
「そんなの気にしません。悪く言われるのなんて、
今更ですから。
もう一度言います。
“貴女の名前、教えてください”」
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柑子露草(プロフ) - 戦闘民族さん» うわあああ!!!ありがとうございます!!!長い間放置してすみませんんんんん(;´Д`) 頑張ります! (2015年3月18日 22時) (レス) id: 610b89f73f (このIDを非表示/違反報告)
戦闘民族 - 続き頑張れ! (2015年3月18日 19時) (レス) id: f03c171f68 (このIDを非表示/違反報告)
柑子露草(プロフ) - 璃乃さん» ありがとうございます\( 'ω')/頑張りますねっ (2014年9月27日 18時) (レス) id: 830b7798e6 (このIDを非表示/違反報告)
璃乃 - 続き頑張って下さい!応援してます (2014年9月27日 14時) (レス) id: 2b9f558fbd (このIDを非表示/違反報告)
柑子露草(プロフ) - いのりさん» アカウント?ありがとうございます!フォローさせて頂きます( *´ω`* ) (2014年6月11日 7時) (レス) id: 830b7798e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柑子露草 | 作成日時:2014年5月4日 10時