【鬼灯の冷徹】鬼と云われた少女の誰も知ら無い二人の噺【六兆年と一夜物語】

御伽噺＊捌 ページ9

*


貴女視点



あの場から走って、自分の家の前まで来た。勢いで



〔またね〕



なんて言ってしまったことを少し…いや、
かなり後悔していた。



『私…なんであんなこと いったんだ…？』



彼も人間なのに。


なのに何で。


彼も私と“同じ”だから？


彼なら信用できるとおもったから？


だからあんなこと、いったの？



『もぅ…わかんないよ…。』



中に入り布団まで行く。そしてそのまま
布団に倒れ込んだ。



あんなことをいわれて、彼は。

彼は嫌じゃ無かっただろうか。

彼はまた、会ってくれるのだろうか。


それに…私の目を見ても〔気味が悪い〕
なんて言わずに

受け入れてくれるのだろうか。




『ねぇ。貴方なら信じていいの？


私を嫌いにならない？』



そっと目を閉じると、頬に一筋の涙が伝った。


ああ、ほんとうに私は。



『泣き虫で弱虫だ。


こんな奴が鬼だなんて…



なんて滑稽なんだろう＿＿＿。』




自分を嗤って、意識を手放した。

御伽噺＊玖→←御伽話＊漆

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す