【鬼灯の冷徹】鬼と云われた少女の誰も知ら無い二人の噺【六兆年と一夜物語】

御伽話＊漆 ページ8

*


男の子視点



「“またね” ですか…」



一人取り残された私は、先ほどの彼女の言葉に
疑問を抱き、その場に立ち尽くしていた。



「貴女は“また”、私に会ってくれるのですか？

貴女は“また”、お話してくれるのですか？」



私は歩き出す。


さっきは嫌われたのかと思っていたが、
そういう訳ではないらしい。



彼女のことは最近知った。


村人達が話しているのを偶然に聞いて。


彼女は私より酷く云われていた。


みなしごだけでなく、



“忌み子” “鬼の子”と。



不思議で仕方なかった。


何故彼女は、そんな風に云われなければならないのか。



気がつくと自分の家の前。


考え事をしていると時間が経つのはあっという間だ。



「さて、暗くなりましたし火を焚きますか」



＊


＊


＊



「そう言えば…名前、訊けなかったな…」



就寝する時間になり、布団に入った時ふと思い出した。


私自身の名前も言えなかった。



「((……まあ私のは名前といえるか分かりませんが))」



綺麗な黒髪の少女。



彼女は強そうに振る舞っていたが、
少し触れるだけで、
崩れてしまいそうな程脆い気がして。


何だか気になってしまう。





「また会えたら、絶対に名前、訊きましょう」








私はそのまま眠りに落ちた。

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