【鬼灯の冷徹】鬼と云われた少女の誰も知ら無い二人の噺【六兆年と一夜物語】

御伽噺＊伍 ページ6

*


男の子視点



足の手当てが終わると



『てあて なんて、私頼んで無いだろ。』



と彼女は言ったのですが、何故か辛そうな表情です。



「私がやりたくてやっただけですか…」



私がやりたくてやっただけですから


そう言おうとした時、



「え、ちょ」



泣き出してしまいました。



『ひっく…ぅっ…。』



「どうしたのですか！？」



私はどうすればいいか分からず、
とりあえず声をかける。


すると



『…ら…い…。』



「？」



聞き取れないくらい小さな声で何かを言う。


私は迷った結果、彼女の隣に座り頭を撫でた。


彼女の髪は柔らかかった。



『ふぇ…。』



しかし、さらに泣いてしまい…困りました。


どうしましょう…。



『わた、しっ…、』



嗚咽混じりに、何かを私に伝えようとする彼女。


私はその言葉を聞き逃さないように耳をすませた。



『知、ら無い…。』



「何をですか？」



『知ら無い…んだ。私。何も知ら無い…。』



「？」




『私、みなしご…だから。』




前髪をよけて目を擦る。



「っ」



私は思わず手を止める。









彼女は…私と同じなんだ。

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