【鬼灯の冷徹】鬼と云われた少女の誰も知ら無い二人の噺【六兆年と一夜物語】

御伽噺＊肆 ページ5

*


貴女視点



「もう少しです」



私が連れて こられたのは 村の端っこにある河原。


其処まであと少しの距離でぴたりと足を止める。


河原は形の様々な石が転がっている為、
更に足を痛めそうだ。



『、』



進むのを躊躇していると



「失礼しますね」



『ぅえっっ！？！？』



ひょいと抱き上げられた。



『ちょ、なにしてる！！』



「足、さらに痛めると大変ですから」



そう言って歩き出した。


私はなんだか恥ずかしくなって、
両手で顔を覆い隠す。




「はい。つきました」



男の子は私を降ろした。



「足、出してください」



『…。』



黙ってそのままにしていると




「失礼します」



『っ、』



怪我した足をそっと持ち上げられた。


自分の足を見ると、血が滲んでいる。




「少しガマンしてくださいね」



男の子は懐から布を取り出し、川で濡らすと、
てきぱきと私の足を手当てする。




「…はい、終わりました」




はやく、お礼しないと。



そう思っているのに、私の口からは



『てあて なんて、私頼んで無いだろ。』



違う言葉しかでてこない。


なんで、私は。


もう、嫌だ。


最悪。




「私がやりたくて やった だけですか…え、ちょ」




あたふたし始める彼。


其れもその筈。


だって私は









･









･









･









『ひっく…ぅっ…。』





泣き出したのだから。

御伽噺＊伍→←御伽噺＊参

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す