任せて.7 ページ9
──ボクは、ずっと真っ赤な苺のタルトが食べてみたかった。
──たまに通りかかるケーキ屋さんの、ショーウィンドウに飾ってある宝石みたいなタルト。
──分刻みで詰め込まれる、ありとあらゆる学問。出来なければ出来るまで延長される学習時間。
──でも、これがボクの『普通』だった。
──トレイとチェーニャと遊ぶのは凄く楽しかった。知らないこと、やったことない遊び。
──二人は、沢山教えてくれた。
──それから、一日一時間の自習時間は、毎日お母様に内緒で部屋を抜け出した。
──真っ白なお皿に乗った、真っ赤な苺のタルト。ボクにとってはどんな宝石よりキラキラ輝いて見えた。
──一口食べたタルトは、凄く甘くて。食べたことがないくらい美味しくて…
──ボクは一口ずつ味わいながら、夢中になって食べた。
"時間を忘れて"
──ルールを破れば、楽しい時間まで取り上げられてしまう。
──だから、お母様の決めたルールは絶対に守らなきゃ。この街で一番優秀なお母様は、何時でも正しい筈だから。
──でも……ねぇ、ママ。何でだろう？ 何故だか胸がとっても苦しいんだ。
──お誕生日だけでいいから、いっぱいタルトが食べたい。お外でいっぱい遊びたい。もっといっぱい、お友達が欲しいよ。
──教えて、ママ。どんなルールに従えば、この苦しさは消えるの？
『…可哀想ですね。』
自由に生きれないことは、苦しいことです。
Aはケイトくんのお世話が好きです。
でも、それができなくなると思うと怖い。
でもきっと、
『愛し方は不器用ですが…ちゃんと、愛されていたんですね。』
ないものねだり。
Aに無い、母からの愛を持っているリドルさんが、羨ましく感じた。
『…案外、友達になれそうですね。貴方とは。』
今はまだ、殆んど話したことはないけれど。
きっとそうなれるんじゃないかと、少しだけ笑った。
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re：アガサ・クリスティ(プロフ) - シエナさん» ありがとうございます！私が言っても意味ないと思いますが、ご自分を好きになってあげて下さいね！ (2020年9月22日 10時) (
レス) id: 285fa6164a (このIDを非表示/違反報告)
シエナ(プロフ) - とても面白かったです！ケイトくん好きでちょうどこんな感じの作品がないかと探していたんです。この話を聞いてみるとケイトくんが少し私に似ているなと思ってもっとケイトくんが好きになりました！ケイトくんも一緒なら自分自身を好きになれる様な気がします！ (2020年9月22日 10時) (レス) id: ce88676ebd (このIDを非表示/違反報告)
re：アガサ・クリスティ(プロフ) - 面影草さん» そんな風に深く考えてくれてありがとうございます！ケーくんは他人の事は深く知ろうとしても、自分のことを知ろうとするのが怖いような子だな…と勝手に思ってました。 (2020年9月22日 10時) (レス) id: 285fa6164a (このIDを非表示/違反報告)
面影草(プロフ) - 夢主ちゃんが健気で、ケイトくんは闇を抱えていて、そんな彼を愛する姿に涙が…。素敵なものをありがとうございます。【他人のことは知ろうとするけれど自分のことは知ろうとしない】これは私たちにも言えることかもしれませんね。 (2020年9月22日 0時) (レス) id: ad0305c35a (このIDを非表示/違反報告)
re：アガサ・クリスティ(プロフ) - 奈雪さん» いえいえ！十分に伝わっています！ありがとうございます！！ (2020年9月21日 21時) (レス) id: 285fa6164a (このIDを非表示/違反報告)
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