ep12.優しい嘘吐き ページ12
ｸﾛｳﾘｰ「優しい私が夕食を届けに来て差し上げましたよ〜って、さっき追い出した筈の狸！」
ｸﾞﾘﾑ「オレ様は狸じゃねぇんだゾ！」
先刻追い出した筈の小動物が、何故此処にいるのかが不思議なのだろう。
グリムの手は肉球であるし、鍵を開けられたかと問われれば否だ。
ギャーギャーと喚いているグリムのクロウリーの会話を遮るようにして、Aがゆっくりとグリムの前に出た。
『この子、そのゴーストから助けてくれた』
ｸﾛｳﾘｰ「何ですって！？この魔獣が！？」
ｸﾞﾘﾑ「A…？」
六「…そーなんですよ！」
Aに同調するように、六花が前に出た。
長く、共に時を過ごした者同士故の以心伝心。
Aが言った「入学できるように頼む」と言う言葉を思い出し、立花は話を合わせたのだった。
ｸﾞﾘﾑ「…そうなんだゾ！
オレ様はそこのか弱い人間共を助けるためにゴーストを倒してやったんだゾ！」
少女らの思惑に感づいたグリムが口を合わせた。
『この子には、それだけの実力が──ある。
此処で手放すのは、かの有名な「NRC」としては惜しいと思う。』
ｸﾛｳﾘｰ「ですが…」
『原石。』
ｸﾛｳﾘｰ「え？」
『キラキラ光る、綺麗な宝石の、原石。』
一見、輝きもろくにない石のようにも見える。
でも、磨けば光ると、訴えかける"何か"が彼にはあった。
磨けば、どこまで輝くか分からない原石。
既に限界が見えている宝石とは違う、大器晩成型の雛────。
六「(やっぱりAは、何処迄も──優しい)」
ｸﾞﾘﾑ「(コイツは──とっても優しいんだゾ)」
二人の思考が、人知れず交錯した。
『だから…お願いします』
頭を下げて、慣れない敬語を使って。
誠心誠意の、お願いをする。
六「私からもお願いします！」
ｸﾞﾘﾑ「お、お願いなんだゾ！」
六花とグリムも、続けて頭を下げる。
ｸﾛｳﾘｰ「分かりました…。
では、Aさんは一般生徒として。
グリムくんと六花さんは二人で一つの…一旦は雑用係として受け入れます！」
六「や、やったぁ〜〜〜〜！」
『学校に行くことが認められただけでも、大きな進歩。──おめでとう』
此処に来て一度も笑わなかったAが、笑った。
優しい嘘を突き通した嘘吐きは、仕事を終えたと言わんばかりに微笑んだ。
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あ - ep49の最後のところでフロイドが小エビちゃんって言ってます。間違いじゃなくてあってたらすみません。この小説面白かったです。 (8月14日 15時) (
レス) @page49 id: f2f05df21c (このIDを非表示/違反報告)
零様p - わざわざ教えてくれて、ありがとうございます！！布教活動頑張りますね！(笑) (2020年8月13日 21時) (レス) id: d21911b93f (このIDを非表示/違反報告)
通行人Sの叫び(プロフ) - 零様pさん» そう、貴方が仰る通り、クルーウェル先生の元ネタは「101匹のワンチャン」です！(公式)。ふ、布教？？嬉しすぎて口がにやけまくっています。 (2020年8月13日 21時) (レス) id: 285fa6164a (このIDを非表示/違反報告)
零様p - メッッチャ関係ないんですけど、クルーウェル先生が１０１匹のワンちゃんの人にしか見えないのですが……。原案それだったり…？前置き長かったですが、てげ面白いです！友人にもアガサさんを布教するほど好きです！更新楽しみにしてます！ (2020年8月13日 21時) (レス) id: d21911b93f (このIDを非表示/違反報告)
通行人Sの叫び(プロフ) - ぱるむさん» ありがとうございます！！返信遅くなってすみません (2020年8月9日 19時) (レス) id: 285fa6164a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：re：アガサ・クリスティ | 作者ホームページ：なし
作成日時：2020年7月25日 12時
