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二十七頁 ページ10

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体育館への道のりを、一人で辿る。

一番乗りだった様で、体育館からは何の音も聞こえない。







ゆっくりと扉を開ける。


と、色素の薄い髪が靡いて、リングにボールを叩き付ける音が響いた。

何もない所から、音が生まれる瞬間。髪色と似た、銀色のピアスが煌めく。







ボールを拾い上げた彼は私に気付くと、気まずそうに笑った。

貴「………矢っ張り好きなんじゃん、バスケ。本当に辞めなきゃいけない?





………祥吾君」


灰色の彼――灰崎祥吾は、しょうがねぇだろ、と頬をかいた。


灰「お役目があんだから。散々自由にさせてもらったきたし、そろそろ真さんにも…親にも無理させらんねぇし…」



祥吾君のお家は母子家庭。

灰のような髪色で、瞳は漆黒、着物が似合う、儚げで綺麗な女性。
それが祥吾君のお母さん。

そして彼女は、妖達と心を通わせ祓う、凄腕祓い屋一族の一人娘でもあった。

見た目も力も母方の血を濃く引いた祥吾君は、母親と同じく強大な力を持ち、やがて一族当主に相応しい器となっていった。



そんな中で身につけた武器が、嘘と喧嘩だった。

バスケを辞める理由を作るため、そして強大過ぎる力から人々に距離をとらせるため、祥吾君は最大限にその武器を使った。



祥吾君は本当は、とっても優しい人。



馬鹿なりに戦い方を覚えた結果がコレとは、少し納得いかないけれど、止めちゃいけない、って思ってる。



貴「…君が考えて決めたなら、真さんも私も、止めないって決めたから…」


それだけ言って、私は顔を上げられなくなった。
多分もうすぐ、灰崎祥吾は居なくなる。


灰「…うん。サンキュ」


タオルとボトルを持つと、体育館を出て行く。私は俯いたまま、祥吾君を見送る。


灰「………ごめんな」


通り過ぎざま、その言葉と共に頭に降ってきた暖かい手。
泣きそうな、優しい声。

そんなことされて、そんな声を聞いて、心が乱れない人が居るだろうか。



祥吾君が去った後、私はずるずると壁にもたれ掛かった。

夕焼けが差し込んで、私を、体育館ごと燃やす。

私はそれから、部員が来るまで動けなかった。

空が見えない空を見上げて、一筋涙が伝った気がした。



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リサっペ(プロフ) - キセキのファンの先輩?の名前が舛添と野々村って作者さん狙ってますか?笑笑 (2019年1月10日 1時) (レス) id: cc75c6e61c (このIDを非表示/違反報告)
妖怪アパート大好き(プロフ) - 夏目友人帳と黒子のバスケのコラボ作品だなんて、嬉しすぎます!これからも、頑張って下さいね。いつでも、応援しています (2016年7月29日 13時) (レス) id: 589fb42408 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。 - な、夏目くんの彼女設...?!これからも無理せず頑張ってください!! (2016年6月14日 7時) (レス) id: 2fca820d76 (このIDを非表示/違反報告)
百鬼(プロフ) - 面白いです!夏目友人帳も黒バスも両方好きなので、コラボ作品嬉しいです!!これから、どうなるのか展開が楽しみです!更新、頑張って下さい♪ (2016年6月5日 0時) (レス) id: 3beef78559 (このIDを非表示/違反報告)
マコト - わぁぁぁぁぁぁぁい!!続編だぁぁぁぁぁぁ!!楽しみだな!楽しみだな!頑張ってくださいねぇぇぇぇぇ! (2016年6月4日 21時) (レス) id: f1a7d746af (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:泉水真琴 | 作成日時:2016年6月3日 22時

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