王子様に処刑される予定です♪ (ページ5)

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王子様にいたずらしました♪ ページ5

私は殿下にエスコートされながら城を歩いていた。案内とは名ばかりで、実際殿下は無表情無言を貫き、ひたすら歩くだけだった。

うっわあ、大きなシャンデリア！あんなに大きかったら地震で落ちたら人を潰しちゃうね。

なんだあの不気味な彫刻は。必要なのか？絶対ないほうがいいと思う。

「……静まれ、顔がうるさい」
「っ、それは失礼しましたわね」

生意気なガキンチョめ。美形だからって何でも許されると思ったら大間違いだ。

にしても、本当にずっと無表情だな。逆に疲れないのか？何をしたら、別の表情を見せてくれるだろう。せっかくお美しいのに。

この虚無の擬人化は、どこまで無表情を貫き通すのだろう。
……よし決めた。私が殿下の表情を変えてやる。

「殿下、お手洗いをお借りしても？」
「……右の突き当たり」

うしし。

私は用を足し、そろそろと殿下に近づいた。
あと3メートル、1メートル……。

「わっ！」
「…………」

殿下はちっとも驚いてくれなかった。
そして私をゴミを見る目で見た。表情筋は少しも動かさずに。

真顔でそんな目されたら怖いです殿下……。

その後も私は殿下と格闘した。

ほっぺをツンツンしても怒った顔はしてくれなかった。イケメンだと褒めても喜んだ顔はしてくれなかった。じゃんけん勝負を持ちかけて負かしても悔しい顔はしてくれなかった。

なんで！いくら酷く苛められてたとしてもおかしくないか。心がないのか？感情くらいあるよ、いじめられっこだって。

ついた場所は図書室。一通り回って廊下に出ようとする殿下に私はしかけた。

とびっきりのカンチョーを。

そしたらとうとう殿下の堪忍袋の緒が切れた。

「……いい加減にしろ！僕が落ちぶれ王子だからって、からかうのがそんなに楽しいのか！」
「やった！怒ってくれた！」

さすがマリンピア。怒った顔も美しい。

「お前、頭おかしいのか？」

心底嫌そうな顔も美しい。