【鬼滅の刃】拝啓、過去の私へ日記。Part.2

55，我をも忘れて ページ7

伊之助side

_____Aが到着する数分前。




伊之助は1人、苦戦を強いられていた。

糸を操っていた鬼は炭治郎によって
討伐が完了したものの、

巨体の鬼に奇襲されてしまう。

炭治郎と共に鬼を狩るつもりが
炭治郎は鬼の力によって遥か遠くへ

飛ばされてしまったのである

「クッソォ、どこ行きやがったあの野郎…！」

すでに満身創痍の体であった伊之助だったが、
なんとか巨体の鬼を追い詰める事に成功した。

が、あと一歩のところで
鬼は逃げ果せたのである

「ハッ…そこかぁあ！！」

やっとの思いで見つけた巨体の鬼は
木に登り身を震わしていた。

それを見た伊之助は嘲笑う

「フハハハ！
俺に恐れをなして震えてやがる！」

その刹那、鬼の体に異変が起こった

背中が真っ二つに剥がれ落ち
中から新たな肉体が現れたのだ

その異変に伊之助は気づかないわけもなく
驚愕して目を見開く

「だっ…脱皮しやがった…！！」

先程よりも遥かに大きくなったソレは
伊之助の目の前で

大きな音を立てながら降り立った。

そして鬼が放った咆哮と爆風に
伊之助は気圧され、

手も足も出なくなってしまう。

そして遂には、
刀を持っていた手も力なく降ろし

戦意喪失状態に陥ったのである

「……っ」


敵からこれほどの圧を…
今まで感じた事がない


駄目だ、勝てねぇ。
勝負しなくても、俺には分かる


こいつの方が強ぇのは明白だ


俺はこいつには勝てねぇ
駄目だ、俺は死ぬ。


死ぬんだ。


殺され……





「___________っ伊之助！！！！」

「…！！」




敵が伊之助を殺そうと
腕を振り上げると同時に、

声のする方へ伊之助は目を向けた

そこには、伊之助に向かって
手を伸ばすAの姿が目の前に映る。

とっさの出来事のあまり、
刀すら抜いていなかったAは

そのまま伊之助に覆い被さり、
庇うようにして敵に背中を向ける

次に瞬きをした時には
視界が真っ赤に染まっていた。

否、Aから血が吹き出していた。

伊之助を庇って、Aが盾となり
背部を負傷したのだ

「…がぁっ……！！」

「なっ…(人2)！！？」

伊之助がもたれかかるAを抱えて
敵に背を向け走った。

少し離れた樹木に身を隠し
Aを下ろす。

伊之助がよく目を凝らさなくとも
Aが重症なのは明らかであった。

傷が深い。背中には
深く抉られたような鋭い爪痕が残っていて

そこから溢れる血が地面へと広がり
伊之助を追い詰める

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