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87,ダメと分かっていても ページ39

昼時になり、休息を取っていた炭治郎の元に騒がしい足音が聞こえてきたかと思うと

ガラッと勢い良く部屋の戸が開いた。

現れたのは、訓練を終えて
休憩中の伊之助である

「伊之助?どうしたんだ
そんなに急いで」

「おい紋治郎!これ読め!」

これ、と手渡されたのは日記帳だ

「日記帳?…ってこれ!Aのじゃないか!
勝手に持ち出したのか?」

「机の上に広げてあって、
見たら俺の名前が書いてあったんだよ!」

伊之助が日記帳を見つけた時には
Aは不在であった。

読み書きができない彼は
唯一、自分の名前だけ読めていた。

そのページを見て、気がついた時には
日記を手に持っており、

その足で炭治郎の元へ向かったのである

「読め!俺には何て書いてあるか分からねえ」

「だ、駄目だよそんな!
人の日記は勝手に読んじゃいけないんだ。

もしAが、俺達に知られたくない事を
書いていたらどうするんだ?」

「…」

伊之助は、黙り込んで日記帳に目をやる。

ふ、と炭治郎の鼻に香ってきたのは、
彼自身の心情の匂い。

もっとAを知りたい、でも自分は
関わるべきじゃないと感じている伊之助から

悲しい波に葛藤する匂いがしたのだ。

その様子に、押し負けた炭治郎が
はあ、とため息をつく

「……分かった。ただし、読むのは
伊之助の事が書かれてる部分だけだぞ。

そして、後でちゃんとAに謝りに行こう」

そう言われた時の伊之助の表情と言ったら、
赤子が目を輝かせて喜ぶ姿と一緒だった

炭治郎の隣にすぐ座って
興味津々とばかりに日記帳に目をやる

「じゃあ読むぞ?えっと…

『拝啓、死んだ私へ。こんな私ですが、
大切な仲間が出来ました。

仲間の名前は、竈門炭治郎君と我妻善逸君、
嘴平伊之助君…』」

「…」

伊之助はまた胸に感じる痛みに
息が詰まりそうになりながらも

黙って聞いていた

「…俺達の事、詳細に書いてくれてたのか。
A…」

「良いから早く読め」

「…ああ」

炭治郎は日記帳に集中し
文字を目で追い、再び声を乗せ始める

88,炭治郎、善逸への日記→←86,ズレた認識



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無希(プロフ) - 白夜さん» 作品をご閲覧して下さりありがとうございました!記憶というものがいかにかけがえのない存在なのかをお伝えしたかったので、悲しい・切ないと感じて下さり感無量です!今後も見守っていただけると幸いです!コメント下さり本当にありがとうございました! (2020年11月27日 6時) (レス) id: 41ba87352e (このIDを非表示/違反報告)
白夜 - 主人公が 記憶を 失うのは ちょっと悲しい(切ない?)けど、全部 思い出して ほしい…とても 素敵な作品 ですね (2020年11月22日 0時) (レス) id: 95ea5261ad (このIDを非表示/違反報告)
華恋 - ところで、華恋は花咲く恋という意味でいれました。恋愛設定なら、この小説はゆりの恋だと思います。花言葉は幻かくです。記憶を失うからです。夢の中で記憶をみたりさまよう感じで。。 (2020年9月7日 12時) (レス) id: d87eae5019 (このIDを非表示/違反報告)
華恋 - るいの様子を無惨様にみられていたとおもいます。だから、下弦のかいたいの時閻魔に名前をさがすように命令されたりするとおもいます。推測してしまいました。。 (2020年9月6日 12時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
華恋 - 特に提案どうりにいきそうで嬉しいです。夢の中で、鬼の事を思い出したりしそうです。好きだから、無惨様殺しをするというのがよくあります。。難しいとはわかっているけれど、違う形がいいです。 (2020年9月5日 21時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:無希 | 作成日時:2020年6月28日 16時

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