【鬼滅の刃】拝啓、過去の私へ日記。Part.2

74，心の問題 ページ26

「……ごめんなさい。私、貴方の事
覚えていないんです」

「……え？」

少女は、固まったように足を止めて
Aの言葉を脳裏に半周させた

「貴方が、私とどういう関係だったのか。
全く覚えていないんです」

Aは、一旦は少女から目を逸らすも
直視できない現実から逃げないために

もう一度、目を向ける

「…貴方の名前、教えてくれませんか？」

「…つ、栗花落カナヲ…」

カナヲは言われるまま、
戸惑う表情を見せて名を告げる。

カナヲ、という名前にAは
すぐに反応した。

先程、〈隠〉からその名を聞いたからだ

「栗花落カナヲちゃん…
とても素敵な名前ですね」

「…それ、初めて会った時にも言われたの」

「え？」

カナヲは、静かにそう言うと
ゆっくりとAの隣に座った

「本当に、何も覚えていないんだね。A…
…すごく大変な思いをしたんだね」

カナヲは切なげな表情をしたものの
今までAが出会った者達とは違って

気丈な振る舞いをしているように見えた。

カナヲのその様子を見たAも
不思議に思ったが、

その答えはすぐに分かった

「Aは、すごく頑張ってたから…

きっと抱え込んで心に負荷がかかって、
忘れちゃったんだね」

「心に…？」

「師範から聞いたことがある。
人は、心に極度の恐怖や

不安・負の感情が積み重なると、
防衛本能が働いて…

自分が壊れてしまわないように、
自分を守る為に記憶に支障が出たり…

失ったりしてしまうって」

中庭を優雅に舞う蝶を見ながら
カナヲが言った

「凄いなって思ったの。

Aは誰よりも努力して、
誰よりも強い鬼狩りになろうとしてた。

私よりもAの方が強いのに、師範の
継子にならずに…ずっと一人で頑張ってたの」

師範、継子、

気になる単語が次々と出てきて、
聞きたいことが山ほどあったが

まずは誤解されている事を撤回しなければ、と
思ったAが話に割って入る

「あ、あのね栗花落ちゃん。
私が記憶がないのは…」

Aが真実を打ち明けようよした時、
遠くからバタバタと足音が聞こえてきた









________

73話で、カナヲはAと再会した際
硬貨を投げていますが、あれは

硬貨が【表】ならAと喋る、
【裏】なら喋らないと決めて投げています。

炭治郎から心を開くきっかけを
貰っていないので、この頃のカナヲは
硬貨で決める事しかできません

【表】が出たので、再会した喜びをAに
不器用ながらも打ち明ける事が出来ました

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