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71,居場所があるなら ページ23

「私、頑張りますから…

鬼がこの世界を脅かす存在なら
私がこの手で必ず倒します

だからお願いします。

私から鬼殺隊という居場所を
奪わないで下さい」

気がつけば、Aの頬に涙が伝っていた

A自身ですら、何故こんなにも
必死にこの場所にこだわるのか、

必死に懇願しているのか
見当もつかなかった。

しかし、実弥に言われた言葉が
どこかで深く突き刺さり

心を動かしたのだろう。

今までに感じた事のない
辛いという感情が

胸を締め付けて離さないのである

「私はね、」

落ち着いてAの言葉を
一つ一つ丁寧に読み取っていた産屋敷が

ゆっくりと口を開く

「私はね、Aには今まで通り
共に戦ってほしいと思っているんだよ。

Aを信じたいから」

「…」

「Aが鬼であっても、人間であっても

私にとっては、可愛い子ども達と
変わらないんだから」

それに、と産屋敷が
はっきりと言う

「君の力は、不幸でも劣等でも何でもない。
自信を持ちなさい。

後ろは向かないで、前を向いて、
皆を支えてあげて欲しい」

Aは涙を、手の甲で拭いながら
産屋敷の声に

そっと耳をすませるようにして聞き入れる。

支えられているのは自分の方だ、と
思いながらも産屋敷に言われた通り、

後ろ向きな考えは持たないようにしようと
真っ直ぐな目を向ける

「皆はどうかな。異論のある者は?」

産屋敷の問いに、柱は沈黙した。
異論を唱える者はいなかったのである。

しかし、それぞれの表情は複雑であった。

「打ち明けてくれてありがとう、A。
今日はゆっくり休みなさい」

「……ありがとう、ございます」


こうして柱合会議でのAに関する案件は
無事に収束を迎えた。

それからAは念のため、もう一度心身の
状態に異常がないか診てもらう必要があった。

しのぶはまだ柱合会議の途中であるため
一足先に、蝶屋敷へと〈隠〉に案内される。

「立派なお屋敷ですね…ここ」

屋敷の入り口に足を踏み入れると

中庭に繋がっており、
蝶が優雅に宙を舞っていた。

「…本当に、記憶がないのですね」

〈隠〉が苦笑いをしながらそう言った

「え?」

「ここは、A様の
帰る場所でもあったんですよ。

私はよく、貴方とカナヲ様が
ご一緒なのをお見受けした事があります」

「カナヲ…?」

「失礼、口出ししすぎました。行きましょう、
病室はこちらです」

「あ、はい…」

屋敷を見渡していたAに
〈隠〉が急ぎ足で道案内をした

72,記憶を失った代償→←70,賛否両論の存在



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無希(プロフ) - 白夜さん» 作品をご閲覧して下さりありがとうございました!記憶というものがいかにかけがえのない存在なのかをお伝えしたかったので、悲しい・切ないと感じて下さり感無量です!今後も見守っていただけると幸いです!コメント下さり本当にありがとうございました! (2020年11月27日 6時) (レス) id: 41ba87352e (このIDを非表示/違反報告)
白夜 - 主人公が 記憶を 失うのは ちょっと悲しい(切ない?)けど、全部 思い出して ほしい…とても 素敵な作品 ですね (2020年11月22日 0時) (レス) id: 95ea5261ad (このIDを非表示/違反報告)
華恋 - ところで、華恋は花咲く恋という意味でいれました。恋愛設定なら、この小説はゆりの恋だと思います。花言葉は幻かくです。記憶を失うからです。夢の中で記憶をみたりさまよう感じで。。 (2020年9月7日 12時) (レス) id: d87eae5019 (このIDを非表示/違反報告)
華恋 - るいの様子を無惨様にみられていたとおもいます。だから、下弦のかいたいの時閻魔に名前をさがすように命令されたりするとおもいます。推測してしまいました。。 (2020年9月6日 12時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
華恋 - 特に提案どうりにいきそうで嬉しいです。夢の中で、鬼の事を思い出したりしそうです。好きだから、無惨様殺しをするというのがよくあります。。難しいとはわかっているけれど、違う形がいいです。 (2020年9月5日 21時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:無希 | 作成日時:2020年6月28日 16時

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