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59,生きたかった ページ11

今の私は死んでしまうけれど、また私は生まれて貴方達に出会えるよ

「…嘴、平くん…」

名前を呼ばれた伊之助は
自身も体力の限界を痛感しながらも

必死にその声を一字一句
漏らさぬようにしようと顔を上げた

「…また、……出会った、ら……次は
友だちに、なってくれ…る…?」

貴方は言ったね、友達はいらないって。
くだらないって。

私もそう思ってた。

前世では、友達なんていなかった。
むしろ、いらなかった。

でもね、この世界に生まれて
やっとその存在が良いなって思えた。

どんなに辛い事があっても
必ず自分を分かってくれる人が現れる。

私も、嘴平君にとって
分かち合える友達になりたかった

「…そんなの、決まってんだろ」

伊之助が残り少ない力で声を振り絞る

「……今も、これからも…ずっと
友達に、決まってんだろ…っ!」

「……良かった」

…じゃあ、大丈夫だ

「だから、死ぬな…っA…
お前が俺に、言ったんだ…ぞ…」

その言葉を最後に
伊之助は気を失ってしまった

ごめん。ごめんね。

短い間だったけど、楽しかった
…ありがとう、幸せだった

____(焦らなくて良いんだよ、A。俺は昔のAも、今のAも大切なんだから)

____(俺は信じる…Aちゃんと炭治郎を信じる!お前にAちゃんは切らせない!)

Aの脳内に走馬灯が流れる

「炭治郎君…っ善、逸…君……」

もっとそばに居たかったのに、
もう…叶わない

ごめん。炭治郎君、一緒に禰豆子ちゃんを
人間に戻すって約束…守れなかった。

威勢のいい事言っただけで、
格好悪いなぁ私…

どうか、皆…無事でいて。

そして願わくば、この記憶だけは
忘れないで…

そう願った時、ハッと息を飲んだ

「前の私も…」

前の私も、こんな気持ちで
死んじゃったのかな。

寂しい。暗い、怖い

まるでずっと深い海に沈んでいくような感覚

これが、死…なんだ。



「……死にたく、ないなぁ……」



はは、と力なく笑ったその顔は、一面に
広がった最期の景色である夜空を見上げ

どうしようもない現実に
頬から涙が伝っていた。

今更、

…否。

ようやく口にした本音。




もう遅いと分かっていても、
この事実だけは変えようが無い




「…たん、じろ……く、……」









「…っ!」

ハッと顔を上げた炭治郎が
眉間にシワを寄せた

今は十二鬼月、累と交戦中である

その最中、嫌な予感がしたのだ

「……A?」

Aの匂いが
感じられなくなったのである

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無希(プロフ) - 白夜さん» 作品をご閲覧して下さりありがとうございました!記憶というものがいかにかけがえのない存在なのかをお伝えしたかったので、悲しい・切ないと感じて下さり感無量です!今後も見守っていただけると幸いです!コメント下さり本当にありがとうございました! (2020年11月27日 6時) (レス) id: 41ba87352e (このIDを非表示/違反報告)
白夜 - 主人公が 記憶を 失うのは ちょっと悲しい(切ない?)けど、全部 思い出して ほしい…とても 素敵な作品 ですね (2020年11月22日 0時) (レス) id: 95ea5261ad (このIDを非表示/違反報告)
華恋 - ところで、華恋は花咲く恋という意味でいれました。恋愛設定なら、この小説はゆりの恋だと思います。花言葉は幻かくです。記憶を失うからです。夢の中で記憶をみたりさまよう感じで。。 (2020年9月7日 12時) (レス) id: d87eae5019 (このIDを非表示/違反報告)
華恋 - るいの様子を無惨様にみられていたとおもいます。だから、下弦のかいたいの時閻魔に名前をさがすように命令されたりするとおもいます。推測してしまいました。。 (2020年9月6日 12時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
華恋 - 特に提案どうりにいきそうで嬉しいです。夢の中で、鬼の事を思い出したりしそうです。好きだから、無惨様殺しをするというのがよくあります。。難しいとはわかっているけれど、違う形がいいです。 (2020年9月5日 21時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:無希 | 作成日時:2020年6月28日 16時

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