ヒーロー薬、最強薬*トド松 ページ48
むつ担当*続き
「あ、あ」
Aが、いた。
ぼろぼろだった。
服も汚くて、あまりにも見てられない。
「トオ松兄ちゃん?」
顔も少し切れてて、痛そう。
でもAは、ボクに心配かけないように、笑ってた。
辛そうに、笑ってた。
ああもうだめだ。
「A、」
――――
路地裏にいた。
そいつらはやっぱりいた。
「お前らが、Aをやったんだな……?」
「けっ、あの子の兄貴か?」
「まぁ弱っちぃだろうし、潰しません?」
そう言うと相手はなにか薬を飲み込む。
僕は同じタイミングで、注射器で薬を入れ込んだ。
別にさほど力もわかない。
筋肉が増えやしない。
ただ屈しない心が、ボクにはなかった強い意思が手にはいった。
Aの仇を打てるならいい。
―――
「ぅっ……あ゛っ!!!!」
「……弱っちーな、相手になりゃしない」
痛い、身体が痛い。
唇から血が出てる。
頭もガンガンする。
諦めたい。
帰りたい。
でも、不思議と力がわく。
僕がいれたヒーロー薬。
これは絶対諦めない強い心が持てる薬。
絶望に近くなればなるほど、力がわくんだって。
最強薬と少し迷った。
でもやっぱりヒーローになりたい。
「……諦めない、ぞ!!!」
がっと地面を蹴って、青中の一人に殴りかかる。
ごす、と鈍い音がしてそいつがよろけた。
その反動で壁にぶち当たったけど、そんなの気にせずにもう一人に蹴りかかった。
「……ざぁんねん、ワンパターンな兄貴さん?」
足を捕まれ、床に叩きつけられる。
口から少しだけ血が吹き出た。
「…あ、あ゛……っあああああ!!!」
ごすごすとお腹を殴られる。
駄目だ、意識が……
「お疲れ、トド松」
ボクの消え行く意識のはしに、赤青緑紫黄の靴が映った―――
――
「ん……」
「起きた起きた起きタァァンアウツ!!!!」
パチパチ瞬きして、ここが松野家だと気づく。
十四松兄さんが兄さんたちをつれてきた。
「ムチャしすぎだろ……末弟のくせに」
「お疲れ、トド松」
「お疲れさまっ!!!!!!」
「俺たちを頼っていいんだぜ?」
「お前は、よくやったよ
本当に」
『お疲れ様』
「トド松兄ちゃん!!
おはよ、ありがとお!!」
ぎゅうっとみんなが抱き締めてくる。
僕は涙を流しながら、笑顔で言った。
「えへへ……心配かけてごめんなさい!」
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作者名:まねみー&むつ x他1人 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年9月21日 20時