空嘘薬*おそ松 ページ25
むつ担当*続き
朝、私は空嘘薬を一粒口に含んだ。
引っ越しまで、あと三日。
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「Aー!おはよ!」
「ん、あぁおそ松」
挨拶を交わして、二人で道を歩く。
「なんか…冷たくね?あ、もうすぐ付き合って一周年じゃん!今俺のことどう思う?」
「…カッコ悪いし、頼りない」
『…かっこよくて、頼りになる』
「たぁっ!Aなりのジョークだろ?もーちょっと考えよーぜ?」
笑いながらそういうおそ松そっちのけで、私は薬の効果を思い知った。
嘘しか、つけない。
口からでる言葉とは全く違う言葉がでてくる。
炭酸水を生憎持っていないから、あとで買わなくちゃ。
「え?違うけど」
『いやいやいや、ジョークだって』
空嘘薬を飲んでることを忘れて、本心を口にするも。
その言葉は、変化して投げられる。
「は…?…なんかAらしくねぇーや。また学校でな」
手を振って逃げるように走っていくおそ松を私は追えなかった。
自分でも信じられないくらいに、心が痛い。
___
「ありがとーございましたー」
聞きなれたコンビニメロディを背に、買ったばかりの炭酸水を口に含む。
変わった感じはしないけど、空嘘薬の効果は切れたはず。
それより、おそ松にどれだけの傷を負わせたんだろう。
謝らなきゃ、と思う反面。
このままいけば、きっと嫌われるって思った。
元はと言えば空嘘薬を飲んだのは嫌われるため。
嫌われて、別れて、赤塚から離れるため。
ただ、別れたくて飲んだはずの空嘘薬は、私にもおそ松にも傷を負わせた。
あぁ、そんなに、愛してたなんて。
____
「で?どうだったの?Aとおそ松を別れさせる作成」
「Aのことだからー、大丈夫だって」
にっこり笑いながらツレと話す。
私はまぁ所謂Aのお友達。
そして、ライバル。
おそ松のことがちっちゃい時から好きだった。
それをあいつが奪っていった。
横槍がはいってウザくて、だから'仕方なく'お友達になって。
今回の引っ越しは、いいチャンスだと思ったんだよね。
引っ越しのついでに別れさせて、横から奪い取って。
「あーはやく消えないかな、A」
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作者名:まねみー&むつ x他1人 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年9月21日 20時